直木賞受賞 特別寄稿 「ロッキーによろしく」 (文・東山彰良/作家) 3日で脚本を書き上げた シルヴェスター・スタローンの『ロッキー』が日本で公開されたのは一九七七年のことである。 1946年生まれのスタローンは、このとき30歳。ウィキペディアでちょっと調べたところでは、それ以前にも“The Party at Kitty and Studʼs”(子猫と種馬のパーティ)というポルノ映画や、“No Place to Hide”(隠れ場無し)というコメディ映画などに主演している。が、まずもってだれも知らないだろう。すくなくとも、わたしは知らない。 ともあれ、銀幕での成功を夢見ていた彼は、極貧生活を食いつなぐために長らくポルノ映画やボディーガードなどをこなして日銭を稼いでいた。しかし顔面麻痺による演技力の限界や、あまりにもシチリア人的な風貌のために、オーディションに落ち続けたという。転機となったの

