5月中旬、都内某所――。 フットサル場のネットをくぐると、見たこともないウォーミングアップが目に飛び込んできた。 「足首を曲げたまま、少し腰を落としてゆっくりバックステップしてみよう! 膝が内側を向いていたらダメ。手首を柔らかくしたまま肘を締めて、呼吸は鼻から!」 中西哲生が声を出しながら模範を示すと、選手たちがそれに続く。 中腰で後ろずさりする様は、まるで武道でも始めるかのような雰囲気だ。だが、間違いなくそこにいるのは名が知れたサッカー選手たちなのである。 当然その動きには、サッカーがうまくなるための明確な狙いがある。 大反響の指導論の続編として、「中西塾」を見学! 中西は給水のタイミングでこう説明した。 「うまくバックステップを踏むと、自然と骨盤が前傾するんですよ。骨盤が後傾すると股関節の可動域が減って動きが硬くなってしまいますが、前傾すれば前後左右に足を踏み出せる。動きのいい選手とい