ネクタイは巨人のチームカラーのオレンジだった。「プロに入る前に嫁に買ってもらった。9年後を狙ってたのかな」。場を和ませるジョークで、村田は巨人入りの喜びを表現した。 横浜での9年間、Aクラスは2005年の3位だけ。今も愛着はあるが「野球人として優勝争いがしたい」との思いは止められなかった。まして巨人は9年前、最後まで入団を検討した球団。「気持ちを押し殺して横浜に入った」分、「そのころの気持ちを取り戻したい」と語る村田はひたすら純粋だった。 「(来季)打点は100、本塁打は30本を狙うそうです」。原監督に“横やり”を入れられ、村田は苦笑いでうなずいた。09年ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)では負傷帰国したため自らの手で果たせなかった指揮官の胴上げが、最大の目標だ。(森本利優)