亡びゆく言語を話す最後の人々 地球上には数多の動植物が存在しているが、およそ80%を超える種類が、西洋科学の範疇において未だ存在を知られていない。それらの種は特定の地域に集中しており、その多様性から生態学のホットスポットと呼ばれているが、同時に深刻な衰退にも陥っているという。 一方で、言語に関しても同じような事態が起きている。少なくとも80%が未だ記録に残されておらず、今現在、何が失われつつあるのかすら正確には分かっていないのだ。こうした言語版ホットスポットのエリアを地図上に記し、現地に赴き、それらの言葉を記録しようと作業を続けているプロジェクトがある。 エリアの多くは伝統的な狩猟・採集民族や、自給自足の暮しをする人々の住む地域に該当する。オーストラリア、インド、パプアニューギニアからボリビアまで。その僻地にある共同体を、プロジェクトの一員でもある著者が訪ねていく。 彼らの最大の目的は、危