【 山崎まどか / コラムニスト 】 この世界に自分とそっくりで、かつ物事に対して逆の思想を持って発言する人物がいたら? もうひとりの自分=ドッペルゲンガーというキーワードを基に、人々が同じ状況にありながらそれぞれ違うものを見ている現代の「分断の社会」の根底にあるものを解き明かす。 『ドッペルゲンガー』 ナオミ・クライン(著)グローバル企業の戦略に対する批判と気候変動についての著書で知られるジャーナリストのナオミ・クラインは、フェミニストの論客であるナオミ・ウルフとしばしば混同されることがあった。コロナ禍で多くの人が隔離生活を送る中、ナオミ・ウルフが極右のポッドキャストにレギュラーのように出演し、コロナ・ワクチンなどについて陰謀論やデマを流すようになって、クラインの困惑はネット上でアイデンティティを乗っ取られたような恐怖に変わる。SNS上で二人の発言は取り違えられて、なすすべもなく間違った

