バイカル湖は中央アジアとシベリアの中間に位置し、周囲を深い原生林に囲まれた三日月型をした巨大な湖である。長さは640キロほどで総面積は31,500平方キロもあり、平均深度は730メートル。この巨大な湖に約350の河川が流れ込んでいる。 別な表現で言えば、琵琶湖の面積の50倍、水量では850倍である。これは北米の5大湖の全水量に匹敵する。つまり、地球上の全淡水の2割の量を占めていると言えば、バイカル湖がいかに巨大な湖なのかわかるだろう。 この巨大な湖は、一年のうち半分は氷に閉ざされ、湖面全体が凍ってしまうという極寒の気象条件下に置かれている。凍った巨大な湖面はシベリアの真珠とも謳われ大変美しいものである。しかし、この湖の底には今も、25万とも言われる大量の人間の魂が眠っているという事実は意外に知られていない。歴史の闇に葬られてしまった悲しい史実の一つがここにある。