ある中堅出版社の社長と飲んだ。その席で、酔った社長から「山田さんは電子の人だから」と言われてショックを受けた。私が「冗談でしょう」と言っても、「うちの社員は皆そう思っていていますよ」と言い返されて、さらにショックを受けた。 この社長は40代の半ばで、私より一回り若いのに、根っからの「紙人間」である。つまり、「電子書籍なんか本ではない」と思っていて、私の新著『出版・新聞 絶望未来』も真っ先に読んでくれたのだが、それでも「山田さんはやはり電子の人」と言うのである。 もちろん、私は自分を「電子の人」などと思ったことは一度もない。 電子書籍制作をやってはいても、それはいずれ電子書籍時代になったら困るからであり、心のどこかでは「電子書籍時代なんて永遠に来てほしくない」と思っている。「でも、この本のタイトルでは、そう思われても仕方ありませんよ。電子化推進の本としか思えませんからね」と、社長は続けた。
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