「本物のお姫さま」のお正月 お正月の楽しさは格別なものでした。元旦は、家令を筆頭に表の人たちが母が待つ奥に新年のご挨拶に訪れ、姉と私もそこで待っていました。また、多くの親戚も年賀に訪れます。 親戚はほとんどが徳川か松平で同姓ですから、「林町様」や「千駄ヶ谷様」といったように屋敷のある場所だったり、「紀州様」とか「越前様」といったような呼び方をしていました。 姉は高松宮妃という久美子さん。「姉・妃殿下、兄・慶光と兄嫁の和子様、姉・喜佐子。叔父の徳川誠家から、叔母・霽子様、従兄弟の熙様と脩様。親戚が集まる何らかの日だったのでは…」とのこと(『徳川おてんば姫』より) 台所が一番賑やかになるのもお正月です。オーブンで焼いた鴨で作る、とってもおいしい鴨雑煮から始まり、鱈と昆布のお吸い物、お刺身、鴨焼き、蒲鉾、玉子焼き、酢の物、お煮物など、何しろお客様にも御膳をお出しするため数十人分ものご馳走を用意す