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ブックマーク / book.asahi.com (29)

  • 『満州天理村「生琉里」の記憶』書評 証言が問いかける、宗教と個人|好書好日

    満州天理村「生琉里」の記憶―天理教と七三一部隊 [著]エィミー・ツジモト 奈良の天理市に拠点を持つ天理教は戦前、旧満州に開拓団を送り込んだ。他の開拓団でもよく聞くように、満州人の家屋と畑をわずかな金で手放させ、そこに天理教の人々が移り住んだ。その村と日軍の七三一部隊が隣接していたという。細菌戦研究のために人体実験を行っていた悪名高い部隊である。その研究棟建設時から天理村の男たちが労働力として借り出されていた。 書では親子二代で、父親は建設に従事、息子は証拠隠滅のため殺害された「マルタ(人体実験用の捕虜はこう呼ばれた)」を数日にわたり焼却し、建屋を爆破したという証言が登場する。さらに、協力を強いられた天理村自体が、研究棟を超えて試験的に周辺に撒(ま)かれたペスト菌の被害を受けていたことにも書は言及する。ペスト菌拡散に使われることになるハツカネズミの飼育は、関東軍から天理村小学校に飼育依

    『満州天理村「生琉里」の記憶』書評 証言が問いかける、宗教と個人|好書好日
    gogatsu26
    gogatsu26 2022/11/09
    “満州天理村「生琉里」の記憶―天理教と七三一部隊 [著]エィミー・ツジモト”
  • イマジネーションあふれる怪奇幻想短編集 恒川光太郎「白昼夢の森の少女」|好書好日

    ホラー小説大賞に輝いたデビュー作「夜市」以来、野心的なホラー&ファンタジー小説を数多く発表してきた恒川光太郎。最新作となる『白昼夢の森の少女』(KADOKAWA)は、〈神隠し〉〈夢〉〈変身〉といった著者好みのモチーフが頻出する、まさに恒川光太郎らしい短編集だった。身体を植物に侵された人びとが、巨大な森と同化して生き続けるという表題作をはじめ、アンソロジーや文芸誌などに発表された10編を収めている。 巻頭に置かれた「古入道きたりて」に、まずは驚かされる。大雨に降られた釣り人が、山中の一軒家で雨宿りをする。その家に暮らす老婆によれば、満月の夜には古入道という化け物が現れるという。夜中に目を覚ました釣り人は、はたして巨大な人影が山を横切ってゆくのを目撃した。 「わかりませんな。人がいうには、古入道の山いうもんがあって、場所は毎回変わるんだそうで、そこに迷って入ると、どこか遠くに運ばれるとい

    イマジネーションあふれる怪奇幻想短編集 恒川光太郎「白昼夢の森の少女」|好書好日
  • 「不寛容論」書評 入植神学者が訴えた信教の自由|好書好日

    不寛容論 アメリカが生んだ「共存」の哲学 (新潮選書) 著者:森あんり 出版社:新潮社 ジャンル:新書・選書・ブックレット 不寛容論 アメリカが生んだ「共存」の哲学 [著]森あんり 日では「一神教は多神教よりも不寛容だ」という俗説が根強い。信仰心の篤(あつ)い人は他宗教・他宗派を排斥しがちだというイメージが浸透している。 しかし書は、現代の寛容論は近代合理主義によって創始されたものではなく、中世キリスト教に淵源(えんげん)すると指摘する。カトリック教会の法学者たちは、キリスト教こそが正しくそれ以外は間違いだと確信していたが、異教徒への寛容を説いて共存を図った。 この伝統は以後も引き継がれ、キリスト教布教を口実としたスペインによる「新大陸」征服事業を批判する宣教師も少なくなかった。著者は、こうした中世以来の寛容論の流れの中に、アメリカがイギリスから独立する以前の17世紀の神学者ロジャ

    「不寛容論」書評 入植神学者が訴えた信教の自由|好書好日
    gogatsu26
    gogatsu26 2021/02/22
    “評者: 呉座勇一 / 朝⽇新聞掲載:2021年02月20日 不寛容論 アメリカが生んだ「共存」の哲学 (新潮選書) 著者:森本あんり 出版社:新潮社”
  • 令和の現代に「伝説の魔女」がよみがえる! 古賀新一・山田J太「エコエコアザラクREBORN」(第120回)|好書好日

    HOME コラム マンガ今昔物語 令和の現代に「伝説の魔女」がよみがえる! 古賀新一・山田J太「エコエコアザラクREBORN」(第120回) 細かい設定やストーリーが原作と異なる場合、リメークではなく、リブート(再起動)と呼ぶらしい。「チャンピオンRED」(秋田書店)はこれが得意で、過去にコラム(第81回)でも取り上げた『三つ目黙示録~悪魔王子シャラク~』は『三つ目がとおる』(手塚治虫)のリブートだった。この10月には同誌連載中の『エコエコアザラクREBORN』(古賀新一・山田J太)第1巻が発売された。 1970年代後半に連載された『エコエコアザラク』は2018年に他界した古賀新一の代表作。公称250万部を記録した「週刊少年チャンピオン」(秋田書店)黄金時代を支えた作品のひとつであり、平成に入ってから映画テレビドラマにもなっている。中学生の黒井ミサは黒魔術で次々と人を殺す従来の少年誌に

    令和の現代に「伝説の魔女」がよみがえる! 古賀新一・山田J太「エコエコアザラクREBORN」(第120回)|好書好日
  • 「三体」監修・立原透耶さんインタビュー 中国SF界に現れた、突然変異的なスペースオペラ|好書好日

    文:ハコオトコ 立原透耶(たちはら・とうや)作家・翻訳家 1969年生まれ。ファンタジーなど幅広い作品を執筆。「ひとり百物語」シリーズ(メディアファクトリー)など著作多数。華文SFの翻訳も長く手掛け、最近も中国語圏の作家の作品を翻訳した『時のきざはし 現代中華SF傑作選』(新紀元社)を出版。 戦後、ソ連の影響を受けた中国SF ――翻訳・監修に多くの人が携わった「三体」シリーズ邦訳版ですが、立原さんは主に和訳された文章と中国語の原書と乖離が無いか、固有名詞やルビのミスが無いかなどをチェックする「総監修」を担当しました。華文SFに造詣が深く、翻訳も長く手掛けてきた立原さんですが、まずは三体の背景にある中国SF事情、歴史を教えてください。 第二次世界大戦後、中国ではソ連のSFが最初に(大々的に)影響したと思います。同じ共産国として中国の目指す科学技術立国、「頑張ったらこんな良い未来があるんだよ

    「三体」監修・立原透耶さんインタビュー 中国SF界に現れた、突然変異的なスペースオペラ|好書好日
    gogatsu26
    gogatsu26 2020/07/11
  • 「しまっちゃうおじさん」誕生秘話 「ぼのぼの」作者いがらしみきおさんインタビュー|好書好日

    文:吉野太一郎 画像提供:いがらしみきおさん、竹書房 いがらしみきお漫画家 1955年、宮城県生まれ。24歳で漫画家デビュー。1986年に「ぼのぼの」連載開始。88年に第12回講談社漫画賞受賞。2019年に漫画家生活40周年を迎えた。「ぼのぼの」は単行45巻のほか、映画化2回、アニメシリーズ化2回。ぼのぼの絵『しまっちゃうおじさんのこと』などもある。その他の作品に「ネ暗トピア」「忍ペンまん丸」「誰でもないところからの眺め」「かむろば村へ」「羊の木」(作画)、「I【アイ】」など多数。 どんどん自分のイメージから離れていった ――ぼのぼのや森の動物たちの幼少期を描いたスピンアウト「ぼのちゃん」シリーズの完結編に「しまっちゃうおじさん」の誕生秘話を選んだのはなぜですか? 「ぼのちゃん」という話は結局、編のぼのぼのの話と完全にはつながっていなくて、ある程度パラレルワールドの世界ではあります。

    「しまっちゃうおじさん」誕生秘話 「ぼのぼの」作者いがらしみきおさんインタビュー|好書好日
  • 円居挽さんを大学のミステリ研へと誘った清涼院流水「コズミック」 「なんでもアリ」という希望と複雑な思いと|好書好日

    「今年、1200個の密室で1200人が殺される。誰にも止めることはできない」 ― 密室卿 1994年の日、密室卿を名乗る者の予告通りに各地で毎日三件の密室殺人が起きていた。日々増え続ける密室殺人もさることながら、そもそも密室卿とは何者なのか……この巨大な謎を迎え撃つのはJDC(日探偵倶楽部)に所属する数百人の名探偵たち。はたして彼らは真実に辿り着けるのだろうか? ……とまあ、とにかく過剰だ。今でこそこうした出オチすれすれの作品は珍しくもないが、あの当時はコロンブスの卵だったのである。というか、『コズミック』は日ミステリ界に落ちた巨大隕石だった。出版直後はパーティーそっちのけでミステリ作家たちがみんな『コズミック』の話をしていたそうだ(そんなが今ありますか?)。当時の私は直接その熱狂を浴びたわけではないが、その破天荒な設定、そして作者や版元の挑発的な言動に痺れ憧れ、氏が在籍していたと

    円居挽さんを大学のミステリ研へと誘った清涼院流水「コズミック」 「なんでもアリ」という希望と複雑な思いと|好書好日
  • 恨み言びっしりの絵馬、ロリータ服の水子地蔵……現代日本に息づく奇妙で真剣な信仰に迫る 小嶋独観「奉納百景」|好書好日

    文:ハコオトコ 写真:斉藤順子 あの世での“バーチャル結婚式”描く「ムカサリ絵馬」 ――書では小嶋さんが全国の神社仏閣、ちょっと分類不能な宗教施設にまで訪れて取材したいろいろな「奉納物」を紹介しています。メジャーな絵馬から帽子などの日用品、動物の骨に至るまで奉納された光景はいずれも奇妙で荘厳でもあります。普段私たちが参拝する際にあまり気にしていない奉納物を追いかけるようになったきっかけは何でしょうか? もともと変わったお寺を巡るのが好きでした。以前は仏像や建物といった面から寺社を面白がっていましたが、奉納物に注目するきっかけとなったのが、20年近く前に出会った「ムカサリ絵馬」です。これはショッキングだった。 ――若くして未婚で亡くなった我が子のために、親が「結婚式の様子」を描いた絵を奉納する山形・村上地方の風習ですね。書には絵の絵馬だけでなく、どこからか切り取ってきたような大人の花嫁と

    恨み言びっしりの絵馬、ロリータ服の水子地蔵……現代日本に息づく奇妙で真剣な信仰に迫る 小嶋独観「奉納百景」|好書好日
  • 書評・最新書評 : 友情 西部邁著 思想する人の心の「深み」を映す鏡 | BOOK.asahi.com:朝日新聞社の書評サイト

    gogatsu26
    gogatsu26 2018/01/23
    “ [評者]宮崎哲弥(評論家) [掲載]2005年06月19日”
  • 書評・最新書評 : 核DNA解析でたどる―日本人の源流 [著]斎藤成也 - 宮田珠己(エッセイスト) | BOOK.asahi.com:朝日新聞社の書評サイト

    ■縄文系、弥生系とは別の集団も ここ数年で革命的に進歩した遺伝子研究の成果をもとに日人の起源に迫る。 読んでみたら思わぬことが書いてあって驚いた。 日人はどこから来たのか。これまでの定説は、次のようなものだった。 旧石器時代、最初に日列島に移住してきた人々の子孫が縄文人になり、その後北東アジアから別の集団(弥生系)が渡来、先住民である縄文人と混血をくりかえし、これが現在日列島に居住する多数派の「ヤマト人」になった。一方、列島北部と南部にいた縄文人の子孫は、この渡来人とはあまり混血せず、それぞれ「アイヌ人」と「オキナワ人」の祖先となっていった。 今では広く信じられているこの説は、現在の日人集団の主な構成要素を縄文系と弥生系のふたつから説明したことから、二重構造モデルと呼ばれている。 しかし解析の結果、このモデルでは説明しきれない新たな事実が浮かび上がってきた。 一番の驚きは、縄文人

    書評・最新書評 : 核DNA解析でたどる―日本人の源流 [著]斎藤成也 - 宮田珠己(エッセイスト) | BOOK.asahi.com:朝日新聞社の書評サイト
    gogatsu26
    gogatsu26 2018/01/14
    “縄文人と渡来系弥生人以外に、もうひとつ別の集団が日本列島に移住してきた可能性が見えてきたことだ。 本書によれば、縄文時代後期の約4400年前から3000年前にかけて、起源ははっきりしないが、「海…”
  • 「江戸日本の転換点」書評 列島改造!! 成長の限界に直面|好書好日

    江戸日の転換点 水田の激増は何をもたらしたか (NHKブックス) 著者:武井 弘一 出版社:NHK出版 ジャンル:新書・選書・ブックレット 江戸日の転換点―水田の激増は何をもたらしたか [著] 武井弘一 明治以後、江戸時代の社会は、概して否定的に見られてきた。それが参照すべきものとして見られるようになったのは、むしろ近年である。それは、戦後日で、「日列島改造」と呼ばれた経済の高度成長があったあと、成長の停滞とともに、環境問題など、さまざまな矛盾が露呈してきたことと関連している。そのため、江戸時代に、低成長で持続可能な経済のモデルが見いだされるようになった。 書が覆すのは、江戸時代にそのように静的な社会があったという見方である。実は、17世紀に日中で、新田開発が進められた。見渡すかぎり広がるような水田の風景が生まれたのはこの時期である。それまで水田は主として山地にあった。これこそ

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  • 本の記事 : 幻のきりえ見つかる 「モチモチの木」原画 - 上原佳久 | BOOK.asahi.com:朝日新聞社の書評サイト

    きりえ作家滝平二郎(たきだいらじろう、1921~2009)が描いた絵『モチモチの木』(斎藤隆介作、岩崎書店)の原画が、千葉県柏市の自宅兼アトリエから見つかった。現在の版の「二十日の月」と異なり、「三日月」が夜空に輝く幻の原画だ。 『モチモチの木』は、少年が祖父を助けるため、夜中に山を下りて医者を呼びに行く物語。71年に刊行され、130万部を超えるロングセラーだ。一部の教科書には現在も載っている。 原画は滝平の長男加根(かね)さんが見つけた。小雪の舞う夜更け、トチの大木の背後に三日月がかかっている。岩崎書店の元編集者池田春子さんによると、初版は三日月だったが、数年して「丑三(うしみ)つ時に三日月が上るのはおかしい」と小学校教諭から指摘があり、77年から文と絵を二十日の月に差し替えたという。滝平は不意で、立腹して三日月の原画を捨てようとしたがの普美子さんが止め、現在まで残っていたようだ

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  • 本の記事 : ジュンク堂で「SFブックミュージアム」 - 加藤修 | BOOK.asahi.com:朝日新聞社の書評サイト

    テープカットするSF作家クラブ元会長の夢枕獏さん、同、山田正紀さんと丸善書店・ジュンク堂書店の岡充孝副社長(右から) 約1千点、3千冊のSF小説やマンガ、批評などを集め、販売する「SFブックミュージアム」が10月6日、東京・池袋のジュンク堂書店で始まった。来年50周年を迎える日SF作家クラブの記念イベントで、6日には元会長の夢枕獏さんと山田正紀さんによるテープカットもあった。 会場は「日SF巨匠の部屋」「海外SFスタンダード」「サブカルSFの標」「SFコミック往年の名作」などテーマごとに陳列され、オンデマンド出版のため書店ではほとんど見られない『小松左京全集完全版』(城西国際大学出版会)や『しずおかSF 異次元への扉』など地方の出版物も並べられている。 夢枕さんは「これだけSF関連が集まると壮観です。まだ読んでいなかった名作もあって、改めてSFのすそ野の広さを感じました」と話した。

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  • コラム別に読む : 刑務所で死ぬということ [著]美達大和 - 江田晃一 | BOOK.asahi.com:朝日新聞社の書評サイト

    gogatsu26
    gogatsu26 2012/06/19
    "実態は犯罪を犯罪とも思わない悪党ランドに化していると著者は嘆く"
  • コラム別に読む : ふしぎなキリスト教 [著]橋爪大三郎、大澤真幸  - 佐々木俊尚(ジャーナリスト) | BOOK.asahi.com:朝日新聞社の書評サイト

    ■世界の「普遍」を知るために 今年の新書大賞を受賞した書は、社会学者2人がキリスト教の基概念を快刀乱麻を断つがごとくばっさり構造化して説明している。たとえば奇蹟(きせき)とは何か。世界はすみずみまで合理的で誰も自然法則を動かせず、ただ神だけが法則を一時停止して奇蹟を起こせる。つまり世界の合理性が前提にあるからこそ、奇蹟の概念が成り立つのだという。世界に合理性を求めない日の伝統とは前提が違う。 書が売れている背景には、二つの要因があると考える。 近代以降の日と国際社会の戦いは、言ってみれば普遍をめぐる戦いだった。孤立した島国に住む日民族には、世界と勝負できる普遍性がない。だが戦後の高度成長では日のものづくりが世界市場を席巻し、日の生んだVHSやCDといった規格が世界標準へと達した。しかし昨今はすっかり失速し、ガラパゴスという流行語が陰(いんうつ)に日を覆っている。普遍の獲

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  • インタビュー : 〈対談〉ノーベル賞を機に 翻訳文学を考える | BOOK.asahi.com:朝日新聞社の書評サイト

    鴻巣友季子(こうのす・ゆきこ) 1963年生まれ。翻訳家、エッセイスト。著書に『の寄り道』(河出書房新社)など。 ノーベル文学賞が6日、発表された。例えば日の文学が賞の選考過程に乗るには、翻訳されることが必須の条件になる。発表を機に、文学と翻訳の関係について、文芸評論家の加藤典洋さんと翻訳家の鴻巣友季子さんに語り合ってもらった。 ◇ ■訳されて豊かになるのが世界文学 ――今年のノーベル文学賞は、スウェーデンの80歳の詩人、トーマストランストロンメルに決まりました。日では、1999年に詩集『悲しみのゴンドラ』が訳されています。 鴻巣友季子 毎年のように候補にあがってきた人ですね。 加藤典洋 去年、マイケル・ハイムというミラン・クンデラの訳者でUCLAの教授の話を聞く機会があったんです。スウェーデン・アカデミーの人と会った際、「ノーベル賞をとるには何が一番大事ですか」と尋ねたら、たちど

    インタビュー : 〈対談〉ノーベル賞を機に 翻訳文学を考える | BOOK.asahi.com:朝日新聞社の書評サイト
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    gogatsu26 2011/10/16
    "世界文学とは翻訳文学のことである、良い翻訳文学とは翻訳で失われるのではなくて豊かになるものという。それが世界文学だ。翻訳して通じなくなるものは、国民文学、ご当地文学だと"
  • 「ヨハネス・ケプラー」書評 知性の真の価値、後世に明らかに|好書好日

    ヨハネス・ケプラー 天文学の新たなる地平へ (オックスフォード科学の肖像) 著者:ジェームズ・R.ヴォールケル 出版社:大月書店 ジャンル:児童書・絵 たび重なる家族の災厄、教会間・国家間の戦争に翻弄されつづけながらも神聖ローマ帝国数学官としての職務をまっとうし、真の信仰と「世界の調和」を求めつづけたケプラー。業績と生涯… ヨハネス・ケプラー [著]ジェームズ・R・ヴォールケル ケプラーは、太陽の周りを楕円(だえん)を描いて回る惑星の運動法則にその名を残す。いうまでもなく地動説を前提とするが、同時代のガリレオと違って、迫害されなかったのはなぜだろう。 ある天文学者と話していて、そんな話題になった。法則はおなじみでも、生みの親のことは、案外知られていない。 最新の伝記である書によれば、ケプラーは17世紀、神聖ローマ帝国数学官という高い地位にあり、皇帝の厚い庇護(ひご)の下にあった。一方で

    「ヨハネス・ケプラー」書評 知性の真の価値、後世に明らかに|好書好日
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    gogatsu26 2011/09/07
  • asahi.com(朝日新聞社):信念貫いたSF戦士 眉村卓氏が語る、小松左京氏 - ひと・流行・話題 - BOOK

    信念貫いたSF戦士 眉村卓氏が語る、小松左京氏2011年8月5日小松左京さん=1988年撮影小松左京さんの主な作品著者:アーサー・C. クラーク  出版社:早川書房 価格:¥ 840 ■絶対的価値と格闘した「ガキ大将」 先月80歳で死去した作家、小松左京。日にSFを広めた開拓者だった。その姿を、ともに歩んだ作家、眉村卓(76)に聞き、作品に魅入られた同時代の記憶とともに振り返った。 ◇ 小松さんがいなければ、日にSFは広まらなかった。いわゆる「SF第一世代」の代表的存在だった。星新一が先駆者として道を拓(ひら)き、小松左京が万能ブルドーザーで地をならし、口笛を吹きながら筒井康隆がスポーツカーを飛ばしている、とも言われた。 SFをどう広めるのか。「SF戦士」と表現されたけれど、小松さんは常に格闘していた。作品は格派。「小松流のSF」があって、宇宙や文明とは何かを考える作品を書いた。 小

    gogatsu26
    gogatsu26 2011/08/05
  • 【レビュー・書評】ムッソリーニ (上・下) [著]ニコラス・ファレル - 書評 - BOOK:asahi.com(朝日新聞社)

    ムッソリーニ (上・下) [著]ニコラス・ファレル[評者]山形浩生(評論家)[掲載]2011年7月31日著者:ニコラス ファレル  出版社:白水社 価格:¥ 3,990 ■優れた政治家?読者に判断促す 驚くなかれ、書はなんと、ファシズムは決して悪い政治体制ではなく、ムッソリーニは優れた政治家だったと主張するだ。 即座に反発して短絡的に軍の音を懸念する人もいるだろう。だが罵倒語として濫用(らんよう)されるファシズムの具体的中身やムッソリーニの活動をどこまでご存じだろうか。ナチスの仲間だから、右翼全体主義の悪い連中のはず、という程度の理解も多い。 書はそうした無知と偏見につけこむ。既存のムッソリーニ像は左翼プロパガンダで歪(ゆが)んでいた、と著者は語る。伊ファシストの実際の活動を見よう。対外侵略は(すぐ負けたし)大したことない。ナチスとの同盟は、侵略回避の緊急措置だ。産業面などで成果も

  • 【レビュー・書評】男の絆―明治の学生からボーイズ・ラブまで [著]前川直哉 - 書評 - BOOK:asahi.com(朝日新聞社)

    男の絆―明治の学生からボーイズ・ラブまで [著]前川直哉[評者]荒俣宏(作家)[掲載]2011年7月31日著者:前川 直哉  出版社:筑摩書房 価格:¥ 1,680 ■「男社会」の起源は硬派の男色 書の冒頭はAKB48と男性アイドルグループの不思議な違いから始まる。AKBのほうは仲間で下着姿になったりキスしたりしあうのに、男性グループではそれを見せない。その理由は「同性愛」とみなされる危険を排除するためという。たしかに評者も、『三国志』の冒頭に、義兄弟の契りを結んだ劉備、張飛、関羽の3人が夜も寝台を共にしたとあるのを読んで、妙に興奮した覚えがある。 明治政府が法律で禁止した男色の実情は、森鴎外の『ヰタ・セクスアリス』に詳しい。江戸以来、男色は高齢者が年少者を意のままにする行為であって、「受け身」役が「少年」と呼ばれたように先輩・後輩の関係にあった。いわば武家社会の反映であり、江戸も後期に