欧米の現代ホラー映画が抱える問題点は、その9割までただ驚かせるだけの作品であることだ。観客の心を奪い、時にトラウマとなり、夜もおちおち眠れないようなサスペンス性に溢れた作品はどんどん減っているように感じられる。 『ハロウィン』を例に挙げよう。マイケル・マイヤーズは洗濯物の背後に現れ、まばたきをした瞬間姿を消している。次にどこから現れるか予測もつかない。これらの作品はホラーというジャンルを様式化した映画だ。だが、その続編は緊張感に乏しい味気ない作品になってしまった。 最近では思わず引き込まれるホラー映画は少ない。登場人物は殺人鬼に追いかけられたら転んでみたり、明らかに怪しげな場所にあえて足を踏み入れてみたり、「お約束」ばかりが踏襲されている。安心とびっくりを織り交ぜた『インシディアス』、『フッテージ』、『死霊館』は商業的には成功していたが、ただのどっきり映画になっている点は否定できない。