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ブックマーク / magazine-k.jp (7)

  • ジョブズの本で考える、本の適正価格

    今月に入ってずっとマスコミを賑わせ続けた人と言えば、スティーブ・ジョブズ。もうお腹いっぱい、ではあるが、ウォルター・アイザックソンによるバイオグラフィーが世界同時発売ということで、色々と思うところがあったので、それを書いておく。 まずは紙のでの話。アメリカではサイモン&シュスターから出ているハードカバーの希望小売価格が35ドル(約2700円)、アマゾンやバーンズ&ノーブルのオンライン書店ではこれが17.88ドルとほぼ半額となっている。刊行日を前倒しにした「ラッシュ」とはいえ、これだけ時の人となっている時期に刊行されるベストセラー間違いなしのタイトルなので、卸値価格を考えるとアマゾンもB&Nもハードカバーでの儲けは紙一重の小さいもののはずだ。Eブックの販売も手がけているからこそできる大技。他の書店ではこんなに安売りするわけにはいかない。 これが講談社から刊行された日語版だと、上下巻で各

    gogatsu26
    gogatsu26 2017/03/13
    “日本語版が4000円近くする同じ本が、英語のEブックだと1000円以下で手に入るということだ。私にはアマゾンが「ほーら、うちに値付けを任せてもらえれば、こんなに安く提供できるんですよ」というアピールに思えて…”
  • 私設雑誌アーカイブ『大宅文庫』の危機【後編】

    京王線・八幡山駅で下車し、左手に都立松沢病院の蒼とした木立を眺めながら大宅文庫(公益財団法人・大宅壮一文庫)へと向かう。この道を、いつも一人で、しかも、複雑な心理状態で歩いていた記憶がよみがえる――。 サラリーマン編集者をしていた20〜30代の頃だ。ある時は、予定していた取材先だけではページが埋まらず、締め切りが迫る中、急遽、ネタを探し直さねばならず焦っていた。またある時は、企画会議の直前だというのに手持ちのネタがなく、急ごしらえであろうが企画をひねり出さなくてはという不安に押しつぶされそうになっていた。そして資料を漁り終えると、一目散で編集部に戻らなければならない。街を眺める余裕すらなかった。何度も通った八幡山なのに、自分はこの街のことをほんとんど知らないことに気がついた。 大宅文庫に「行く人」と「行かない人」 実を言うと、今回、正式な取材の申し込みをする前、誌「マガジン航」の編集・

  • 私設雑誌アーカイブ「大宅文庫」の危機【前編】

    「知らなかった、大宅文庫が経営の危機にあることを」――。 8月8日、このような一文から始まる書き込みをFacebookにアップした。すると瞬く間に「拡散」され、5日後には「いいね!」が497人、「シェア」が276件。Facebookと連動させているTwitterのほうは、「リツイート」が674件、「お気に入り」が272件……。正直、驚いた。こんなに話題になるとは思ってもいなかった。その一方で、「みんな当に大宅文庫に関心があるの?」と訝る気持ちも生まれてきた。 公益財団法人・大宅壮一文庫(以下、大宅文庫)は、東京都世田谷八幡山にある雑誌専門の私設図書館だ。その名の通り、ノンフィクション作家で評論家の大宅壮一(1900〜1970年)が蒐集した膨大な雑誌資料が元になっている。大宅壮一といえば「一億総白痴化 」や「駅弁大学」「男の顔は履歴書である」といった名言・語録でも知られているが、「は読む

  • 日本漫画の国際化を翻訳家の立場から考える

    ヨーロッパで日漫画が幅広く出版されるようになったのは、1970年代の終わりに起きたアニメ・ブームのおかげである。フランスやスペイン、イタリアでは『マジンガー』シリーズ(永井豪)や『キャンディ・キャンディ』(水木杏子作、いがらしゆみこ画)、『ベルサイユのばら』(池田理代子)といったアニメの原作を皮切りに出版がはじまり、その後もほぼ途切れることなく現在に至っている。 日アニメのヨーロッパでの紹介は、『バーバパパ』(フランスの絵『バルバパパ(Barbapapa)』が原作)や『アルプスの少女ハイジ』(ヨハンナ・シュピリの小説『ハイジ』が原作)など、ヨーロッパ人があまり違和感を感じない作品から始まった。しかし、1978年に『UFO Robot Goldrake』という題でフランスとイタリアで放送された『UFOロボ グレンダイザー』(永井豪)が、文字通りの「カルチャー・ショック」を与えたことで、

  • 震災の後に印刷屋が考えたこと

    3月11日に発生した大きな地震を、僕はオフィスで迎えた。 僕のオフィスはもともと活版印刷機を回していたビルなので、古いが大変に頑丈な作りをしている。ゆっくりと増幅しながら粘る揺れは、最初は水平方向に縦横に、次いで垂直方向を混ぜた立体的な揺れに変化して、オフィスを気持ち悪く揺さぶった。 僕のすぐ後ろの棚はシート(断裁等していない刷ったままの印刷物)を吐き出し続け、書棚は不恰好なダンスを踊っては壁にぶつかって音をたてた。重い原棚が摺り足でせり出してくる。上司が「ついに来たか!」と叫んだ。 幸い社屋の損傷は軽微で、けが人も出ることはなかったが、総務部の判断で16時をもって社員は解散ということになった。その一方営業に出たきり連絡の取れない社員もあり、また顧客に呼ばれて出て行くものもあった。こんな時に営業にきたと得意先でアイドルになった営業もいる。 後に聞いたところでは東京西部と埼玉にある印刷現場

  • 文字と印刷にかたよったブックフェア極私的報告

    7月8日~11日まで東京ビッグサイトで開催された第17回東京国際ブックフェアは、過去最大の1000社が出展、来場者数も87,449人と過去最多だったという。実のところ毎年足しげく通っているわけではないブックフェアに、今年は足を運ぼうと思ったわけは、電子書籍関連の動きにともなってユーザーインターフェースとしてのフォントへの関心が高まっていることを、肌で感じていたからだ。 先日『文字をつくる 9人の書体デザイナー』(誠文堂新光社)というを上梓した。タイトルどおり9人の書体デザイナーに、文字への思いや書体誕生の舞台裏について聞いたインタビュー集で、30歳~80歳代の各年代の人々に話を聞いたことで、金属活字から写植、デジタルフォントまでの流れを追うことができた。このが、思った以上に反響をいただいている。それはどうやら、ちょうどiPadの登場で電子書籍への注目が高まった時期に出版が重なったことが

  • グーグル・プロジェクトは失敗するだろう

    昨秋、アマゾンで、まもなくロバート・ダーントンの『The Case for Books』というがでることを知った。でもこれ、なんと訳したらいいのかね。たぶん「という事件(事例)」あたりなのだろうが、そこに「の容器」という意味がかぶさっているのかもしれない。 ダーントンは、18~19世紀フランスの出版業界をフィールドとするアメリカの高名な書物史家で、日でも『革命前後の地下出版』『歴史の白日夢』『の大虐殺』『禁じられたベストセラー』などの翻訳がでている。 ハーヴァード大学図書館の館長でもあり、近年は『ニューヨーク・レヴュー・オブ・ブックス』をおもな舞台に、の電子化にかんする積極的な発言をつづけてきた。おそらくこんどのも、それらの最近のエッセイをあつめたものなのだろう。 私は書物史家としてのかれを信頼している。とくに『の大虐殺』が好き。文章もいい。そこで、すぐ予約注文しておいたら

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