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ブックマーク / garth.cocolog-nifty.com (7)

  • 『2666』とシウダード・フアレス連続殺人 - 映画評論家緊張日記

    きりがないな、そうだろ? きりがないよ、当にきりがない、とファン・デ・ディオスは答えながらリノ・リベラのいるソファに座り込み、煙草に火をつけた。 ロベルト・ボラーニョの『2666』を読んでいる。この長大な傑作小説にはいくつかのモチーフがあるのだが、そのひとつがシウダード・フアレス連続殺人事件である。メキシコ最大の、たぶん世界最大かもしれないこの殺人事件のことは、実は日ではほとんど知られていないかもしれない。ボラーニョはもちろん、世界の裂け目の向こう側、条理の通用しない世界のありかを示すためにこの殺人事件をモチーフにしたのである。 事件について、昔書いた原稿があるので、ついでに再掲しておく。『2666』を読んだ人も読んでない人も、どうぞ。 シウダード・フアレス連続殺人事件には明確なはじまりもなく終わりもない。それはスプロール化したメキシコのスラムのようにだらだらとどこまでも広がっている。

    『2666』とシウダード・フアレス連続殺人 - 映画評論家緊張日記
    gogorou
    gogorou 2012/11/29
  • はやぶさ/HAYABUSA (2011) - 映画評論家緊張日記

    監督:堤幸彦 出演:竹内結子、西田敏行 公式サイト みなさまの感動の中、七年の旅を終えて地球に帰ってきた少惑星探査衛星〈はやぶさ〉。今、その旅が映画になる! と考えた人は一人ではなかったらしく、今年から来年にかけて都合四も「はやぶさ」映画が作られるという空前の〈はやぶさ〉ブームが到来! 誰が見たいんだよそれ……という突っ込みはもはや通用しない恐ろしい日映画の世界である。ここは四まとめて「素晴らしきはやぶさ映画の世界」というレビュウを書くべきだと思うんだけど、たぶん四目が到来するころには誰も先陣を切った堤幸彦作品のことなど覚えていない(なによりオレが忘れている)ので、ここに記しておきます。 主人公、竹内結子は北大で天体物理を学んだポスドク(というか、博士論文は通っていないのでただの院卒)。仕事もないので神保町の古屋で働いている。眼鏡、ひっつめのボサボサ髪、リュック、背という絵に書

    はやぶさ/HAYABUSA (2011) - 映画評論家緊張日記
  • The League of Extraordinary Gentlemen Century:1969 - 映画評論家緊張日記

    アラン・ムーア/ケヴィン・オニールの『リーグ・オブ・エクストラオーディナリー・ジェントルメン』第三巻Centuryの第二巻「1969」がようやく到着。時代は飛んで1969年、ミナ・ハーカーとアラン・クォーターメイン、それに永遠の放蕩者オーランドーはノーチラス号で英国に戻ってきた…… フィクションのヒーローたちが総登場するこのシリーズ、おそらく今ムーア先生がいちばん楽しんで書いていると思われるのだが、今回、舞台はスウィングしまくる1969年のロンドン、先生、もうノリノリです。イーストエンドではクレイ兄弟をモデルにしたギャング同士が抗争をくりひろげ、孤独な殺し屋ジャック・カーター(『狙撃者』!)が街を往く。ミナとアランは反キリストを生み出そうとするオリヴァー・ハドー(サマセット・モームの『魔術師』)の陰謀を探るのだが、そのときハイド・パークではターナー(『パフォーマンス/青春の罠』)率いるパー

    The League of Extraordinary Gentlemen Century:1969 - 映画評論家緊張日記
    gogorou
    gogorou 2011/08/28
  • マイ・バック・ページ (2011) - 映画評論家緊張日記

    監督:山下敦弘 脚:向井康介 出演:夫木聡、松山ケンイチ 公式サイト 川三郎の自伝的エッセイの映画化で、東都ジャーナル(朝日ジャーナル)編集者だった夫木くんが松ケン演じる革命家の男にまきこまれて運命を狂わせていく…というお話。丁寧な作りで、なかなか好感が持てる映画である。ただ、二時間半近い上映時間はあまりに長い。見ていて違和感があったのが、松ケンたち革命家集団のアジトでの生活が描かれるところで、それまで一貫して夫木視点で来てるのに、なんでいきなり夫木くんが見てもいないことが描かれるのかなあ……原作どうなっているのだろう?とひどく疑問だったのである。てかむしろこの場面ない方がよくね? と思っていたら、これは原作にはなくて、映画オリジナルの描写なんだな。これには考えさせられてしまった……ぼくがこの映画を見ながら思っていたのは、まさしく 公式サイトで脚家が語っている「梅山の原型にな

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  • もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら(2011) - 映画評論家緊張日記

    監督:田中誠 出演:前田敦子、峯岸みなみ 公式サイト 「もし蓮實重彦が『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら(2011)』を見たら」という評論を書きたくなったがもちろんそんな面倒臭いことはしない。初日に劇場に行ったらガラガラだった。国民的アイドルだというAKB48のファンはどこにいるのだ!? やはり映画入場券の半券でAKB総選挙に投票できるようにするとかしないといけなかったのではなかろうか? その意味で、まだまだこの映画作者たちは顧客のことを考え抜いていないと思わずにはいられない。ちゃんとドラッカーに学んでいるのか? さて、原作自体はどうしようもない一発企画ネタ。映画はいくらか知恵を使っているようではあったが、しょせんは副音声+字幕の寝ていてもわかる方式映画(難病おまけつき)。 映画を見ていて思ったのだが、これ、最大の問題はチームが強くなるプロセスにまった

    もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら(2011) - 映画評論家緊張日記
  • 阪急電車(2011) - 映画評論家緊張日記

    監督:三宅喜重 出演:中谷美紀、宮信子、戸田恵梨香 公式サイト 「宝塚~西宮北口間を約15分で走る、えんじ色の車体にレトロな内装の阪急今津線。その電車に、さまざまな“愛”に悩み、やりきれない気持ちを抱えながら、偶然乗り合わせただけの乗客たちがいた」高校時代の三年間、今津線を使って登校しつづけた身としては見ないわけにはいかない……! これ、まず何が凄いって、主要登場人物が八人。アヴァン・タイトルで延々キャラクターの紹介をして、全員紹介し終わるまでに30分もかかる。で、いろいろ悩んでる八人が登場するんだが、気で問題があると思われるのは結婚式直前に彼氏を後輩に奪われたOL(中谷美紀)くらい。あとはミリオタの大学生と野草を取ってうのが趣味の野生派女子大生(谷村美月)なんて、紹介された瞬間に結ばれるとわかるし、彼氏のDVに悩んでる女子大生(戸田恵梨香)の決断は……って延々引っ張ってるんだけど、

    阪急電車(2011) - 映画評論家緊張日記
  • 2010年映画ベスト10 - 映画評論家緊張日記

    映画秘宝のベスト10発表号(2011年3月号)が発売になりましたんで、ぼくのベスト10投票を転載しておきます。 1 『監督失格』(2011 平野勝之) 2 Grizzly Man (2005 ヴェルナー・ヘルツォーク) 3 〈政治と暴力 三島由紀夫・赤報隊〉(2010 渡辺文樹) 4 『逆襲!スケ番ハンターズ 地獄の決闘』(2010 奥田真一) 5 『カラフル』(2010 原恵一) 6 『オルエットの方へ』(1971 ジャック・ロジェ) 7 『刑事ベラミー』(2008 クロード・シャブロル) 8 『悪魔の往く町』(1947 エドマンド・グールディング) 9 『溝』(2010 王兵) 10 『ソーシャル・ネットワーク』(2010 デヴィッド・フィンチャー) いつも反則ですが今年はとくに酷いですな。なんせオレが見たときにはまだ公開決まってない、どころか完成もしてない映画が一位。しかしこの一位は

    2010年映画ベスト10 - 映画評論家緊張日記
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