世界一の自動車メーカー、ゼネラル・モーターズ(GM)ですら倒産が噂される時代だから大概のことには驚かないのだが、今年2月末に駆け抜けた「インクス倒産」の情報には本当にビックリした。それまで微かな噂すら聞いたことがなかったからだ。 インクスと言えば、金型業界に大革命を起こし、経済産業省の「第1回 ものづくり日本大賞」をはじめ、名だたる工業・技術・科学関係の賞を総なめにしてきた企業である。優良ベンチャーとして、その名は日本のみならず世界に鳴り響いていた。 そのベンチャーの星がなぜ? 3次元光造形機を日本へ インクス創業者の山田眞次郎さんは元々は日本の自動車部品メーカーのエンジニアで、自動車のドア金具を米国メーカーに売り込むため米国に駐在していた。 他社との厳しい競争の中、山田さんは日米の時差を利用して、米側の質問に対して翌日に丁寧に回答、試作依頼には航空機を活用して3日で納品、というスピード対