2022年2月24日に始まったロシアのウクライナ侵攻から、アメリカ、日本、欧州、カナダ、ロシアの5極で運用されてきた「国際宇宙ステーション(ISS)」を取り巻く状況が不透明になっている。 ロシア国営宇宙公社ROSCOSMOS(ロスコスモス)のドミートリ・ロゴジン総裁は、ISSの運用継続についてアメリカに非があるかのような一方的な発言を繰り返し、信頼関係を損ねている。 おおまかにいえば、ロシアと西側諸国の関係が悪化すれば、ISSの軌道制御に困難が起こる ── というのがロゴジン氏の一方的な主張だ。 ただし、宇宙産業を取材してきた立場から見ると、一連の発言には誇張や意図的な「事実の無視」が含まれている。ロシア側のあおりに乗せられないための知識が、受け止める私たちには必要だ。 これまでのやり取りから、経緯と発言の意図を解説する。 ウクライナ侵攻を受けた米バイデン大統領による経済制裁に反発して、2