第二段、吉備大臣の幽閉されている高楼を訪ねる赤鬼(実は遣唐使阿倍仲麻呂の亡霊)。楼上では衣冠姿の赤鬼(=仲麻呂)が吉備大臣と対面している[1]。 第六段、右は吉備大臣と唐の囲碁名人との対局の場面。吉備大臣は相手方の碁石(黒石)を1箇、呑み込んでしまう。怪しんだ唐人は吉備大臣に「かりろぐ丸」という下剤を飲ませるが、吉備大臣は術を使って腹中に黒石を留め、下痢便の中からも碁石は見つからない。中央は装束を脱がされて小袖(下着)姿で立つ吉備大臣。左は悪臭に顔を歪めつつ下痢便を調べる唐人たち。 敷物の上には、黒袍、指貫、檜扇、笏、畳紙といった当時の貴人が身につけていた物がまとめて描かれており、後世の有職故実研究にとって貴重な史料となった。 吉備大臣入唐絵巻(きびのおとど にっとう えまき、または、きび だいじん にっとう えまき)は、日本の12世紀末から13世紀初めに作られた[2]絵巻物の一つ。所蔵者