慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授/中村伊知哉 政府は「通信・放送委員会(日本版FCC)」を設置する方針だ。FCC(米国連邦通信委員会)は数多くの独立行政委員会の一つ。日本にもその通信版を作ろうというのが民主党の案だ。だがこれには反対意見も多いとともに切迫度も低い。日本版FCCは、官僚主導、規制強化、縦割り行政の悪化、を招く懸念があるからだ。 1. 官僚主導 「独立」行政委員会は、政治からの独立を意味する。政治コントロールが効かず暴走する恐れがある。独立機関の一つに人事院があるが、その谷公士前総裁(元郵政事務次官)が麻生政権の公務員制度改革に反旗を翻したのは記憶に新しい。結局、政権は総裁を退任に追い込めなかった。 政治から自由になって喜ぶ官僚は、規制強化と密室化を進めるだろう。規制専門の組織は規制を減らすまい。第一、民主党は官僚をコントロールすると言いつつ、なぜ通信・放送だけ切り
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