なんとも直感に反する話なのだが、親から虐待を受けている子供は、虐待親に対して無条件かつ苛烈な愛情を抱いていることが極めて多い。 どれほど無視されても、殴る蹴るの暴行を受けても、強姦を始めとする性的虐待の被害にあっても、子は親を愛することをやめない。いやむしろ、虐待されればされるほど、子どもは親を愛するようになると言っても良い。 これは一般的な家庭に育った方にはなかなか理解できない事柄のようだ。一般家庭で育った方は、「子から親への愛情」の根源に「親から子への愛情」があると考える傾向にある。つまり「愛されたから愛するようになる」という世界観に立脚しており、虐待のような非道が愛情につながるという理路を理解できないようなのだ。 愛されたから愛するようになる。確かに、成人間の友情や愛情ならそのような構図が成立しやすいだろう。他人から好かれれば嬉しい。その嬉しさが、対象への関心や好意を増大させる。それ