私が読んだ日本書紀の注釈では、「鬼」という字は、万葉集では全て「もの」と読んでおり、「おに」という読みが定着したのは平安時代からだというのが定説だと述べられていました。 ではその「おに」という言葉はどこから来ているのかというと、その語源には諸説あるようですが、その一つに「鬼」は「陰」から来ているという説があります。つまり陰陽(おんみょう)の陰(おん)から来ていて、「陰(おん)」→「おに」となったという説です。このように漢語から来た言葉としては「縁(えん)」→「えに」→「えにし」があります。 自分としては、この説が正しいと思います。理由は以下の通りです。 まず、漢語としての「鬼(き)」は、本来は「亡くなった人」「死者の霊」を指します。この意味での使われ方は、「鬼籍に入る」という言い方に表れています。飛鳥時代の仏像の銘文でも、聖徳太子の亡くなった母のことを「鬼前太后」と読んでいるそうですから、