ブックマーク / www.newsweekjapan.jp/kawato (7)

  • なぜロシアは今も「苦難のロシア」であり続けているのか

    <近隣諸国との血みどろの戦いで巨大帝国を築き上げたロシアウクライナ侵攻から垣間見える不可解な権威主義の源泉とは> 容赦ないウクライナへの攻撃を続けるロシア。毎日殺されていくウクライナの民間人、そしてロシアの将兵に対して、これっぽっちの哀悼の意も見せない。この人間軽視のメンタリティーはどこに発するものなのか――。その謎を解くには、1000年を超えるロシア歴史をひもとかなければならない。 「苦難のロシア」という言葉がある。何も隔てるもののない大草原に住むロシア人は古来、周囲の諸民族と戦い、殺し殺されてきた。13世紀のモンゴルの来襲以後は200年余りにわたる支配を受け、17世紀初めには約4年にわたってポーランド軍にモスクワなどを占領された。その後も1812年のナポレオン軍、1941年のナチスドイツ軍の来襲と続く。 そしてロシア人の大部分は17世紀以来、農奴としてほとんどの権利を奪われ、186

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  • 「ブラック企業・日本」がコロナ禍で犯し続ける不作為

    <新型肺炎が日特有の硬直したガバナンスや役人の無責任な隠蔽体質を改めてあぶり出している> 新型コロナウイルス禍は、世界各国のガバナンスに潜む断層をあらわにし、日アメリカロシアなどでは政権の命運にも関わる事態になってきた。 日の場合、国家の仕組みにいかにも余力がない。コロナ禍が起きただけで検査体制や患者の収容能力がパンクしている。貧乏国だった頃からの惰性で、保健所や病院、消防救急や警察などは人員と設備がいつもギリギリの常時「ブラック企業」。少しでも欠員が出るともうお手上げ、という感じで働いている。 今回も厚生労働省は、「やたら検査をして陽性者を増やすと患者が病院に殺到し、重症者の受け入れが困難になる」という理屈を振り回し、当は検査数を増やしたくとも増やせない状況にあることを正直に説明しなかった。検査数を増やし、軽症者も(ホテルでいいので)隔離することで感染拡大はかなり防ぐことがで

    「ブラック企業・日本」がコロナ禍で犯し続ける不作為
  • 中国・ロシアが退潮する世界で、際立つ日米協調「G1.5」の存在感

    ゴルフ場でトランプを出迎える安倍(5月、千葉) KIMIMASA MAYAMA-POOL-REUTERS <欧州議会選もペルシャ湾への米艦派遣も結局腰砕け――習近平もプーチンも弱みを抱えて笑うのは「安倍トラ」だけ> 国際問題は闇に輝くネオンのごとし。その鮮やかさで目を奪うと瞬時に夜陰に消え、忘れられていく。米朝首脳会談も期待のバブルがはじけ、旧態依然の対立に逆戻りした。 5月には米空母艦隊がペルシャ湾に結集する騒ぎになったが、アメリカ、イラン、サウジアラビア、イスラエルとも腰砕け。戦争でも平和でもないグレーの現状維持となった。欧州議会選挙もEU瓦解、欧州の総右傾化となるほどではなかった。 トランプ米大統領の訪日も、現状維持の最たるものだった。トランプは貿易や防衛問題で日を踏みにじる要求を突き付けることもなかった。夏の参議院選挙を控えた安倍政権に理解を示し、護衛艦「かが」で日米結束を誇示す

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  • 「やっかいな隣人」韓国のトリセツ

    「国軍の日」式典に出席した韓国の文在寅大統領(首都ソウル、18年10月) AHN YOUNG-JOON-POOL-REUTERS <南北接近で日米韓の連携が崩れる時代――パワーポリティクスの東アジアを生き延びる術> 日韓の関係は、浮き沈みを繰り返すもの。98年からの韓国での日文化「解禁」、02年のサッカーワールドカップ共同開催や、その後の日での韓流ブームなどは、いつも慰安婦や竹島(韓国名・独島)問題で暗転してきた。今度は「徴用工」補償問題や韓国海軍のレーダー照射事件で悪化している。 今や韓国国民の7人に1人に当たる年間700万人以上が日を観光し、韓国の電機・自動車生産には日から輸入した部品は不可欠という時代だ。だが今年は日中韓首脳会談や、6月に大阪で行われる20カ国・地域(G20)首脳会議への文在寅(ムン・ジェイン)大統領の参加にも黄信号がともりかねない。 日韓両国民は、国を挙げ

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  • ニッポン製造業のマイナス材料は多いが、悲観一色ではない

    <優等生的経営者の企業は軒並みダメ。しかし家電でも携帯電話でも、部品分野では日の優位が続く> 日の経済を支えてきたのは、製造業が稼ぐ富だ。ただこの頃は、家電やパソコンのメーカーが中国台湾企業に売られ、テレビや携帯電話も韓国のサムスンや米アップルに席巻されている。掃除機まで英ベンチャー企業、ダイソンが幅を利かせる。 三菱や日立の重電部門も独シーメンスや米ゼネラル・エレクトリック(GE)にはるかに後れを取る。日企業は正直が取りえだったのに、神戸製鋼所などは品質データを改ざんした。 安泰に見えた自動車は、米中の企業から電気自動車という新たなパラダイムを突き付けられ、まき直し。ロボットでは日が進んでいるどころか、「ペッパー」はもともとフランスのベンチャー企業アルデバランが開発した対話ロボットだ。身体部分は台湾の鴻海精密工業が中国で組み立てている。 日は今あるものを磨くことにたけているが

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  • 米中の北朝鮮「懲罰」に、能天気な日本はお呼びでない

    <経済制裁に舵を切り核接収にも言及した中国。地政学上の大転換の兆しに敗戦国日はなすすべもない> 日では能天気な総選挙をやっているが、周囲ではパラダイムシフトが進行中だ。 アメリカ北朝鮮制裁に、ロシアと組んで抵抗してきた中国が、石炭輸入の停止、原子力工学分野での北朝鮮留学生受け入れ停止など、気を見せだした。中国北朝鮮の核への対処を、単なる対米協調を超えた自分自身の安全に関わる問題と捉え始めたのだろうか。これをきっかけに東アジアは、「G2」と呼ばれる米中共同支配の方向に向かうのだろうか。 9月中旬、北京大学の賈慶国(チア・チンクオ)国際関係学部長は外国誌への寄稿で、米韓による武力介入に向けて擦り合わせを開始する用意があると主張し、その際に接収する北朝鮮核兵器の管理は中国が行ってもいいと述べた。賈は9月24日付の朝日新聞でも、北朝鮮の核がテロリストの手に渡るなどして中国の安全を直接脅か

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  • 北朝鮮核開発が火を付けた、日本「核武装」論の現実味

    <非核三原則の見直しは「核の傘」補強にならない――英仏に学ぶ国益を守るための核抑止戦術> 北朝鮮の核ミサイル開発が、「日核武装」論に火を付けた。 日はいつかアメリカに見捨てられ、慌てて核武装する――。キッシンジャー元米国務長官などがこう予言していたが、日でも9月6日に石破茂元防衛相が「アメリカの核の傘をもっと有効にするには非核三原則の一部見直しが必要」と述べた。アメリカが日を捨てるとは思わないが、音ベースの核論議が必要になってきたようだ。 朝鮮半島の情勢は、話し合い解決の方向に流れている。米韓合同軍事演習はひとまず終わったし、アメリカ北朝鮮への武力行使を韓国に止められている。国連安保理の新しい制裁決議でカードを一応そろえたこともあり、中ロ両国を引き込んで話し合いでの解決を模索するだろう。朝鮮戦争の正式な終結、つまり北朝鮮の国家承認と外交関係の樹立、南北国境の画定などを定める平和

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