日本で最もよく知られたスコットランドの歌は、「蛍の光」の原曲「オールド・ラング・サイン(Auld Lang Syne)」だろう。 この歌の詩を書いたのは、貧しい小作農の家に生まれて農場で働きながら詩を作ったロバート・バーンズ、スコットランドが誇る国民的詩人として知られている。 バーンズは処女詩集の序文に、「これは上流階級の優雅と怠惰の中で、田舎の生活を見下して歌う詩人の作品ではない」と、農民詩人として詩に向き合う視点と矜持を記している。 日本では唱歌として知られる「故郷の空」だが、バーンズが詩をつけた原曲の「Comin’Thro’the Rye(ライ麦畑で出会うとき)」は、ライ麦畑で出会う男女の性の営みを謳うおおらかな人間讃歌だ。 「オールド・ラング・サイン」が日本に伝わったのは明治時代の初めだが、やはり「故郷の空」と同じく原詩と意味が異なる日本語詞がつけられて、「蛍の光」という唱歌となっ