2015年にオネストジョンというイギリスのレーベルから、アルバム『MAKI ASAKAWA』が発売になった。 この浅川マキのUK盤を企画して発売にこぎつけたのは、ロンドン大学の教授でもあるアラン・カミングス。 彼が書いた詳細なライナーノーツにはこんな紹介が出てくる。 「彼女はカウンター・カルチャーのアイコンであった。深夜と煙草と酒の声、常に黒い衣装を纏っていた日本版ジュリエット・グレコのような装い、個人的な面と政治的な面の両方で、敗北や失望や喪失を味わった同時代の人々を、静かに癒してくれた…」 デビュー時からずっと浅川マキのプロデューサーだった寺本幸司は、しばらく前にロンドンのEMI本社を通じて、コンピレーション・アルバムの発売の許諾を出したにもかかわらず、その後はずっと制作の進捗状況がわからないままだったという。 なぜならば日本の発売元だった東芝EMI(当時はEMIミュージック・ジャパン