400勝投手・金田正一氏と理論派・桑田真澄氏の対論が再び実現した。ファンならずとも惹きこまれるピッチングをめぐる瞠目のやりとりを紹介しよう。 金田:開幕戦で打ち込まれると、味方の攻撃時にブルペンに走ったもんだ。そこで投げ込んで、何球か投げているとポンとハマる時がある。そうなれば心配ない。 よくいう、何球も投げてヘバったら球が走り始める感覚はこれと同じ。要は上体が前に突っ込んでしまっているから球が走らなかったんだ。疲れて上体の力が抜け、下半身主導で投げるから「溜め」ができるんだ。 桑田:この感覚を覚えるには、カーブを投げればいいんですよね。 金田:その通り。カーブこそが溜めを教えてくれるんだ。今のヤツらは手先でコチョコチョ曲げる球ばかり投げるからダメなんだ。 ──ツーシームとか。 金田:は? なんだそりゃ。 ──えっ、ご存じないんですか? 桑田:一般的なストレートから、握りの