ロールスロイスに乗車すれば、他のクルマたちが恭しく接してくるので搭乗者は王様のような気分になる。ランボルギーニを操縦すれば、みながまるでプロボクサーが来たかのように礼賛してくれる。でも、フェラーリではどうだろう……。 男はジェントルマンであっても、隣から抜き去っていくフェラーリに遭うと興奮する。それは、いい意味でも悪い意味でもだ。“負けてたまるか”と荒々しく後ろにピタっと付けてくる者もあれば、正直、嘲笑う者もいる。一方、フェラーリが走った情景が忘れられなくなるぐらい焦がれる者もいる。妬みも買うし、うらやまれもする。この、見るからに享楽主義丸出しのラテン生まれのクルマは、男を興奮させる。 F1マシンもこうなのか、と思わせるほど着座位置の低い独特のコクピットにおさまる。ステアリングホイールを握る。エンジンをかける。一連の動作ひとつひとつに、ドキドキする。走り出せば、限界の見えない豪快な走りっぷ