「すべては心の持ちよう」に 国家にしても、企業にしても、物価や賃金といった短期的なものから福祉政策やエコロジーといった中長期的なものに至るまで、わたしたちが自発的に「個人レベル」の問題として取り扱い、淡々と処理してくれたほうがコストは低く抑えられます。 アメリカでは、貧困層向けにマインドフルネスプログラムの実装が行なわれているという笑えない話があるぐらいです。下手をすれば、どんな悲惨な出来事に見舞われても「すべては心の持ちよう」となりかねません。 市場は市場で、将来的に収入の増加が見込めず、明るい展望が描けないのであれば、発想を転換すれば良くなるという商品を売り込もうとしています。「ミニマリズムで理想の人生が手に入る」「自己管理と脳のトレーニングによって幸福度は上げられる」「低所得者向けのFIRE(経済的自立)がある」……まさに夢のような「自己啓発的解決」が陳列されたデパートの様相を呈して