「勝ちたいんや!」の言葉で知られる闘将と呼ばれた監督は、ただそこにいるだけでぴりぴりしたムードがベンチに漂っていた。そんな監督にうそをついた選手がいた。そのうそは周りの目を気にせず、がむしゃらに目標を勝ち取ろうとすることがかっこ悪くないことを教えてくれる。春から社会に出る人たち、新しい目標に向かう人たちにも、その世界で生きるための一助になるうそだと思う。 (ネットワーク報道部記者 松井晋太郎) 「社会に出れば横一線、スタートはみんな同じだ」 これは事実でないことを彼は知った。彼は井端弘和、元プロ野球選手である。 亜細亜大学を卒業して中日にドラフト5位で入団する。同じ1997年のドラフト会議で指名された選手は79人。 1位で名前を呼ばれたのは、慶応義塾大学の高橋由伸。六大学野球のホームラン記録を更新し、のちに巨人の監督になる。 さらに高橋のライバルで明治大学のキャプテン川上憲伸。大学通算28
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