現在事業展開していないエリアへの進出が決まり、出張が続いている。連日の新幹線移動で腰がきっつー。そこで羽根を伸ばすというか腰を伸ばしたくなり、息抜きも兼ねて、空いた時間を使って前職でお世話になった方に会いに行った。2年ぶり、完全なアポなしである。その方は個人で経営しているいわゆる個人事業主の「厨房屋」、厨房機器業者で僕の知るかぎりどの業者よりもサービスが良かったので重宝していたのだ。気がかりは、前の会社を辞める前年に取り引きを停止してから付き合いがなくなっていたので彼の現状を知らないことであった。店はシャッターが下りていた。隣の商店の人に聞いたら昨年彼は亡くなって、一緒に店をやっていた奥様は子供と暮らすために引っ越したらしい。結果的に彼に引導を渡したのは僕である。そのときすでに70才をこえていた彼を僕が追い詰めたのは間違いない。 十年ほど前のことだ。その時点で厨房屋の彼との取引は数年続いて