雑誌論文(その他):1990: 映画“RUDE BOY”を読む、あるいは、誠実な若さについて. こすもす(東京大学教養学部イギリス科),11,pp38-45. この論文は、大学の同窓誌に発表したものです。 掲出に際して、明らかな誤りは訂正し、その部分を青字としました。 映画“RUDE BOY”を読む あるいは、誠実な若さについて 一九八〇年代がまさに終わろうとしている時点で、一九八〇年前後にイギリス科で過ごした日々を思い出すとき、学問の対象としての「イギリス」の姿とは別に、強烈な印象と一種独特な懐かしさをもって甦える「イギリス」がある。それは、ある種の閉塞状況の下で、スカ・ビートやレゲエ、スキンヘッズやパンクスといった記号群に彩られた、同時代における最先端の文化ないし風俗の場としての「イギリス」である。 実際には直接体験を欠く僕が、こうした個人的感傷を覚えるというのは奇妙かもしれない。ある