敗戦からまもない1945年12月、「新しい出版社をやろう」と設立発起人となった山崎六郎(1889年生)・清水丈男(1902年生)・小尾俊人(1922年生)の三名は、1946年3月、焼け野原の日本橋の一角に事務所を設け社名を「美篶(みすず)書房」とし、若い小尾を中心に「まず紙、印刷と製本の設備、それからお金、そして企画」、と動き出した。みすず書房の歴史はそこから始まる。 それから数えて2021年で75年。1946年7月刊行の第一作、片山敏彦『詩心の風光』に始まり、これまで世におくった本の点数は、今年2021年2月には5000点を超えた。 総点数5000点余のうち、現在在庫のある本は約1700点。一年に数冊程度のものから『夜と霧』のように毎月1000冊以上動いているものまで、在庫といっても広い幅はあるが、75年間に刊行した本の三分の一以上が、いまも元気に読者の手許にわたっている。 出版した本が