限りない未来があるはずだった16歳の少女が6年前、自らの命を絶った。「愛媛の美味しいを全国へ そして世界へ」を理念とし、歌やダンスで農業の魅力を発信する農業アイドル「愛(え)の葉Girls」の主要メンバーだった彼女。ファンはその死を悼み、マスコミも全国的に報道した。少女の無言の訴えに気付けなかった周囲の人、友人たち。とりわけ彼女が所属していた事務所社長の佐々木貴浩さん(55)の衝撃は大きかった。(西原博之) 農業生産法人の代表として作業に取り組む佐々木貴浩さん(2020年6月、松山市) なぜ彼女を守れなかったのか 佐々木さんは14年前に農業生産法人(株)「Hプロジェクト」を起業した。 農業に携わる傍ら、農業普及の手段としてアイドルを育て、世話をし、悩みを聞き、相談に乗ってきた。相談に乗る中で、実は亡くなった彼女が深い悩みを持っていたことを聞かされている。それなのに自分は彼女を守れなかった―