ここへ来てこの問題は 大学の学生だけの問題ではなく、私たちの社会一般の雰囲気の問題かもしれないと気づく。私の友人で、大手食品流通会社に勤めている人間がいる。彼が店長をやっていた時代に話してくれたエピソードを、私はよく覚えている。 最近は、顧客からのクレームが、当該の売場を飛ばし、店長ならびに店舗を飛ばして、本社に行くという。店員たちは、問題が起こっていることを、本社からの問い合わせで知る。「言うなら、店に言ってくれよ、それで済むんだから」と、その男はこぼしていた。同情に堪えない。 ただ一方で、店を飛ばした客の気持ちもわかる。 店で抗議すると、面と向かって抗議しなければいけない。人と人との、顔を突き合わせた話し合いをしなければならない。相手がどんな人間なのか、わかったものではない。下手をしたら、もうその店には行けなくなる。しかも、抗議をした結果、事態が改善されるかどうか不明である。うやむやに