<アトランタの銃撃事件は世界に衝撃を与えたが、「黒人」と違って「アジア系」は連帯して闘いに挑むにはあまりに多様> 去る3月16日に米ジョージア州アトランタで起きた銃撃事件は衝撃的だった。犠牲者8人のうち6人がアジア系の女性だったからだ。そこで問題。そもそも欧米社会における「アジア系」とは誰を指すのか。 あの事件に対するアメリカ政府の反応を伝えるに当たり、複数のメディアは副大統領のカマラ・ハリスを犠牲者たちと同じ「アジア系アメリカ人」と呼んでいた。確かに彼女はインド人の血を引いているが、犠牲者の多くは(インドを中心とする南アジアではなく)東アジア系だった。だから筆者は、そうした報道に強い違和感を覚えた。 アメリカは人種に敏感な国で、ともすれば欧州諸国はアメリカの先例に倣おうとする。だからアメリカの首都で働く中国系イギリス人の私にとって、これは単なる理屈の問題ではない。私を含む「アジア系」の人