東京新聞10月3日の1面トップに『「印象操作」批判免れず』の大見出しと、『東電処理水安全アピール実演・トリチウム検知できない線量計・セシウム高濃度でなければ無反応』の小見出しが並んだ。他方、Web版では「東電、トリチウムを検知できない線量計で処理水の安全性を誇張 福島第一原発の視察ツアーで」という見出しになっている。 これに次のような記事が続く。『東京電力が福島第一原発の視察者に、放射性物質のトリチウムが検知できないうえに、セシウムについても高濃度でないと反応しない線量計を使い処理水の安全性を強調する宣伝を繰り返していることが本紙の取材で分かった。専門家からは「処理水の海洋放出に向けた印象操作と言われても仕方ない」と批判が出ている』 これに対して東京電力は「処理水ポータルサイト」で同日、「ご視察時のALPS処理水サンプルキットを用いたご説明について」という表題で「やわらかく」反論している
新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、韓国では4月15日に総選挙が行われる。5月に就任3年となる文在寅大統領にとっては、任期5年の中間審判だ。同時に、任期5年で再任のない韓国の大統領制では避けられない任期後半のレームダック化の行方を占う選挙でもある。当初は景気低迷などで中間層の支持が離れているとして与党の苦戦も予想されたものの、新型コロナウイルスへの対応が評価される形で大統領支持率は急上昇。他の争点が隠されたという効果もあって、与党への追い風となっている。与党が勝ってもレームダック化の進行を食い止めるのは難しいように思われるものの、文氏が一息つけることは確かだろう。 「世界に評価された」とご機嫌な韓国世論 韓国で新型コロナウイルスの感染者が初めて確認されたのは1月20日。当初は感染者の動線を徹底的に追うことで封じ込めに成功しており、文氏は2月13日に財閥オーナーら主要経済人との会合で「新型
現在、世界の最大の脅威の一つとして懸念されているのが北朝鮮の動向である。諸外国からの再三の非難にもかかわらず、金正恩朝鮮労働党委員長は核実験やミサイル発射を繰り返し行ってきた。米国のトランプ大統領が11月20日に北朝鮮をテロ支援国家に再指定し、また29日に北朝鮮が約2ヶ月半ぶりに発射したロケットは、新型ICBM火星15号で、ついに米国本土全体を攻撃しうる能力も得たと北朝鮮側が発表したことで、北朝鮮問題は新たな緊張段階に入ったとも言える。 米国と日本は北朝鮮に対し、厳しい姿勢をとり続け、経済制裁をはじめとした圧力を強化し続けてきたが、中国とロシアは従来から北朝鮮との「対話路線」を強調し、日米の方針に反発してきた。それでも2017年に入り、これまで北朝鮮に最も強い影響力を行使してきた中国ですら、北朝鮮への姿勢を硬化させるようになった。さらに米国などの粘り強い説得が大きな背景にあり、また欧米がそ
ファシズムは民主主義と共にやってくる。それは歴史の示すところである。政権に就くや議会を無力化し、憲法を停止するか、改変し、一党独裁とする。ところが、民主主義のもと、それが可能なことを証明した国がある。欧米にファシズムの臭いが立ち込める中、一足先にファシズム独裁を築きあげたベネズエラをケーススタディしてみた。 ファシズムを産む土壌 ファシズムは旧体制を一掃し、外交を含め、社会の仕組みを180度変える。それを可能にするためには、既存政党への幻滅、経済の崩壊など、国民の不満がふつふつとたぎっていることが必要条件である。そして人々の憎悪を焚きつけ、国を分裂させる才能あるパフォーマーの存在が十分条件。ベネズエラの場合も同様だ。 1990年後半、過酷な新自由主義により格差は拡大していた。ベネズエラの唯一そして最大の輸出原資の原油価格はバレル14ドル~19ドル前後と低迷していた。貧困層は50%前後だった
5月14日、札幌で行われていた日本小児科学会学術集会。「日本におけるヒトパピローマウイルスワクチンの現状と課題」というシンポジウムが行われた第7会場は、外まで立ち見の出る人だかりだった。撮影録音はおろか質疑も禁止という異例の厳戒態勢の中、会場を訪れた多くの医師たちが注目したのは、シンポジストの1人、横田俊平氏だ。 前学会長のプレゼンテーション 横田氏は日本小児科学会の前会長。学会長を務めていたころの横田氏は、ヒブワクチンの早期導入を求めるなど、ワクチンに積極的な小児科医だった。しかし、退官間際の2014年初め、子宮頸がんワクチンが重篤な副反応を引き起こし、「子宮頸がんワクチン関連神経免疫異常症候群(HANS(ハンス)=HPV Vaccine Associated Neuropathic Syndrome)」という新しい症候群が生まれていると主張するグループに加わった。思春期の少女たちに起き
安倍政権が重点法案と位置づけてきた安保法案が来週にも参議院本会議で採決にかけられる見通しだ。野党側は激しく反対しているものの、与党多数の状況で可決は動かないものとみられている。 その安保法案をめぐって、先月30日に東京・永田町の国会議事堂前で労働組合や市民団体が主催した法案反対の大規模集会が開かれた。主催者発表では、参加者の数は12万人。朝日新聞や東京新聞などの法案に反対するメディアは、この数字を大々的に取り上げ、翌日31日の朝日新聞朝刊1面には「安保法案反対、最大デモ」、「国会周辺に集結」の見出しが躍った。 だが、この主催者発表の数字とは別に、警備を行った警視庁の集計したところでは、その数は3万3000人。4倍近くもの開きがある。警視庁の集計は、空撮の写真や、現場で警備にあたる警察官がカウントしたものを足し上げた数字。一方の主催者側の数字の根拠は不明だ。 集会当日は、筆者も取材で現場にい
「イスラム国」に戦闘員として渡航計画を企てていたとして、10月6日に北海道大学の男子学生が警視庁公安部から事情聴取を受け、東京都杉並区の宿泊先などの家宅捜索を受けた。小誌は、この学生の渡航支援を行ったとして、同じく事情聴取と家宅捜索を受けた中田考氏に9月24日の段階で接触していた。9月に現地を訪れたばかりの中田氏が語る「イスラム国」とは――。 Wedge編集部(以下、――)なぜ「イスラム国」へ行ったのか。 中田 考(なかた・こう)氏 カリフメディアミクス代表取締役社長、同志社大学高等研究教育機構客員教授、イスラム学者(c)Takashi Suga 中田考氏(以下、中田)9月上旬に「イスラム国」に招かれ、シリア国内の彼らが支配する地域へ行ってきた。「(編集部注:8月にシリアでイスラム国に拘束されたとみられる)湯川遥菜氏の裁判をしたい。公正に裁きたいと思うのだが、英語も通じず、話にならないので
*前篇はこちらから 日本を「中国の映し鏡」ではなく他者としてとらえるべきと気づき始めた一部の中国人のあいだでは、一歩踏み込んで日本研究・日本認識の一新を求める動きもある。 たとえば、もともと知日派の閲覧が多いと言われるポータルサイト『騰訊(テンセント)』のオピニオンコーナー「大家」(「みんな・皆様」の意)に掲載された姜建強氏のエッセイ「君の知っている日本はこのようなものか?」(http://dajia.qq.com/blog/277148103204715) は、日本における司法の独立・学問の独立・表現の自由・権力者の面子にこだわらない現実的な政策立案・不正に対する厳格な社会的制裁・殺到する中国人観光客への「おもてなし」にもぬかりない誠実な職業精神などを列挙する(それは日本に仮託した自国批判とも読める)。そして、日本との暗い歴史も忘れるべきではないが、感情に流されずに日本の歴史と現実を研究
近頃、テレビなどで「3Dプリンタ」というまさに未来を思わせる、立体物を出力するプリンタを見ることが多くなった。一部には「3Dプリンタが製造業に革命を起こす」などという意見も見られる。しかし、その実際はどうなのだろうか。昨年10月に『デジタルで起業する』(かんき出版)を上梓し、3Dデータを活用する会(3D-GAN)理事でもある水野操氏に3Dプリンタとは何か、そして製造業に及ぼす影響について聞いた。 ――最近メディアでも3Dプリンタが話題になっています。また、去年、クリス・アンダーソンの著作『MAKERS―21世紀の産業革命が始まる』(NHK出版)も話題になりました。本書でも「気軽に世界レベルの仕事ができるようになった」とあります。こういう状況の要因として、本書では「環境と道具」だと指摘されています。まずその環境とはどういうことでしょうか? 水野操氏(以下、水野氏):ひとつは眼に見える物理的な
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