横浜黄金町ジャック&ベティの「沢田研二映画特集 ジュリー!!」にて。 カネにも女にも執着はなく、ましてや出世や友情などにも興味のひとかけらも感じられない徹底的に孤独な中学校の化学の教師。それが主人公。都市の片隅にいて均質なゆえに、透明にさえ感じられる存在だ。 それが、みずからを9番目の核保有国となり日本国と対峙することになる。その理由はこの映画ではまったく描かれない。おそらく彼は、ただ単に退屈だったのだ。 「巨人戦のナイターを最後まで見せろ」 「ローリングストーンズを日本に呼べ」 退屈な日本人のしがない夢。それを彼は実現する。あくまでも暇つぶしのひとつとして。 そして、そんな退屈な日常を爆破してするものを手に入れること、それだけが彼の目的だ。 この映画の制作年度からさかのぼることは9年前、三島由紀夫は次のように語っている。 「私はこれからの日本に大して希望をつなぐことができない。 このまま