夏には少し早いけれど 夏は夜、だと思う。 高校生で、初めて枕草子を読んだときは感動した。 春はあけぼの、夏は夜、秋は夕暮れ、冬はつとめて。 ああ、まったくその通りだ。 春になったら使い倒そうと思っていたバルコニーは、早々に午後の日差しに焼かれてしまった。 極端に、暑いか寒かで、なかなか快適には使えないなあ、と思っていたけれど この季節の夜。 夕暮れの、少しあと。 太陽の残り香と、デスクライトで照らされたバルコニーの幸福たるや。 仕事が終わって、体力が残っているそのときには 折りたたみのチェアとテーブルを、バルコニーに投げ出す。 コーヒーと本を持って、椅子に深く、深く沈む。 好きな音楽を、うすうく流す。 イヤフォンもヘッドフォンもせず、iPhoneのスピーカーから、ほんのりと流す。やらかい音質を気に入っている。 そして今日は、コロッケだ。 引っ越して数ヶ月経つけれど、駅の、家と反対側にーーー
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