ワゴンを押す茂木久美子さん。アイスを食べたいけれど声をかけにくそうな男性客の視線を感じたら、「はいっ」と笑顔で立ち止まる=山形新幹線「つばさ」の車内 JR山形新幹線に「カリスマ車内販売員」がいる。財布の口が堅いご時世に、売上額は平均的な販売員の約1.2倍。ざっと2倍強の「1日50万円」を達成したこともあり、企業や役所などから講演依頼も相次ぐ。買う気にさせる秘訣(ひけつ)は何か。実際の車内販売に密着した。 天童市在住の茂木久美子さん(29)。JR東日本の車内販売を担う日本レストランエンタプライズの社員だ。幼いころは飛行機の客室乗務員にあこがれたが、高校卒業後、「もっと身近な」新幹線の乗務員の道に進んだ。最近の売り上げ成績は約1300人いる同僚の中でもトップを誇る。「1日50万円」は数年前のゴールデンウイークに山形―東京間を1.5往復した際の記録だ。 4月中旬。茂木さんと山形駅から上りの