糖尿病を患った宇都宮市の男児=当時(7)=の両親に2015年、インスリン投与の中止を指示、男児を死亡させたとして、殺人罪に問われた自称祈祷(きとう)師の近藤弘治被告(65)について、最高裁第2小法廷(草野耕一裁判長)は24日付の決定で「未必的な殺意で(男児の)母親を道具として利用した」と判断、被告側の上告を棄却した。 一、二審の懲役14年6月判決が確定する。 決定は「母親はわらにもすがる思いで、難病治療を標ぼうする被告に治療を依頼した」と指摘。「被告は母親を介して両親に執拗(しつよう)に不投与を働き掛けた。母親は、投与という期待された作為ができない精神状態に陥っていた」と述べた。 決定などによると、近藤被告は15年4月5~27日、男児が定期的にインスリンを投与しなければ死亡する恐れがあると知りながら、両親に投与中断を指示。男児を糖尿病による衰弱で死亡させた。