宮本 裕子 独創的な映像表現で、国内外で高く評価されていたにもかかわらず、2010年に46歳の若さで亡くなったアニメーション監督・今敏。2023年夏、初めて監督を務めた映画作品『PERFECT BLUE』(1998年)の4Kリマスター版が劇場で公開されるなど、今なお観客を魅了しつづけています。そんな同氏によるアニメーションは、しばしば海外での映像研究の対象にも。本稿ではなかでも『千年女優』(2002年)を、先行研究を引きながら、歴史的なメディアとなりつつあることで、研究が盛り上がりを見せている「ビデオ」をキーワードに読み解きます。 『千年女優』より © 2001 千年女優製作委員会 ビデオで映画を見る男 今敏の2作目の長編アニメーション映画『千年女優』(2002年)は、往年の映画女優、藤原千代子が出演する映画のワンシーンから始まる。しかしすぐ後にわかることだが、その場面は千代子のファンで映
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