タイムマシンで時間を超越し、どこでもドアで空間を飛び越え、タケコプターで空を自由に飛び回り、暗記パンで天才になる…. ドラえもんとは、人間が持つ底なしの「欲望」の象徴。 それがかろうじて、夢のある物語になったのは、藤子不二雄の絶妙なキャラクタ設定に拠る。 ドラえもんが私欲のない「ロボット」である事。 そしてのび太がどうしようもなく無能である事。 この2点が無ければ、ドラえもんは子供向けアニメとして成立しなかった。 ドラえもんが人間で、自ら進学し就職していく立場だったら… もしくは、のび太が抜群に頭の切れる野心家だったら… とても少年少女にオススメできるようなストーリーにならないのは想像に難くない。おそらく生臭くって見てられない。 その「生臭さ」は、全ての人間が持つ「欲望」が発する腐臭である。間違いなく、人は多かれ少なかれその腐臭を発しているのだが、出来ればその事実を認めたくないのが普通だ。