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ブックマーク / note.com/cccp1917 (3)

  • 怪談『無人自衛隊』|ユーリィ・イズムィコ

    人民解放軍の東京駐在武官が蒲田の商店街を歩いていると、見慣れぬ店に行き当たった。まるで時代劇で見るような古い商家で、紺染の暖簾には「無人自衛隊」と染め抜かれている。 店の中は暗い。土間の向こうには小上がりがあり、年季の入った箪笥や何かの棚が並んでいるらしいことが、一つだけ灯った行燈によってかろうじてわかった。 東京での土産話になるかもしれない。 興味をそそられた武官は、暖簾を押し上げて中の様子を伺うと、急にギクリとした。意外なほど近くに番頭らしい者が立っていたからである。表は夏の盛りだが、店の中は墨でも流したように暗く、激しい陽射しは全く届かなかった。 「ここは何の店だ」 動揺を悟られぬように武官が問うた。店の中は暗いだけでなく、恐ろしく冷え切っていた。番頭は白い顔を微笑みの形に歪めて「手前どもは無人自衛隊幕僚監部でございますよ」と答えた。 「しかし、自衛隊には陸海空しかないじゃないか。そ

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  • 第223号(2023年5月29日) ウクライナの「パレスチナ化」と「イスラエル化」|ユーリィ・イズムィコ

    【今週のニュース】ベラルーシへの戦術核兵器配備続報ベラルーシに戦術核兵器配備を「開始」 ルカシェンコ大統領 5月25日、モスクワでのユーラシア経済フォーラムに参加したベラルーシのルカシェンコ大統領は、同国への核兵器の移送に関する文書に署名したとプーチン大統領から口頭で知らされたと述べた。その上で、核兵器の移送が「始まった。既に始まった」と2回繰り返して述べたが、実際に自国に核兵器が既に存在しているかどうかは「帰国してからたしかめる」とした。 一国の大統領が自国への核兵器配備について口頭で知らされるだけであり、実際にどうなっているかは帰ってたしかめるしかないというのはロシアとベラルーシの力関係を示すエピソードといえよう。 なお、同日、ロシアのショイグ国防相とベラルーシのフレニン国防相は、ベラルーシ領内における核兵器の保管手順に関する合意書を締結した。この文書について、ショイグは、ベラルーシに

    第223号(2023年5月29日) ウクライナの「パレスチナ化」と「イスラエル化」|ユーリィ・イズムィコ
  • 第191号(2022年9月12日) ウクライナ軍東部大反攻へ|ユーリィ・イズムィコ

    【今週のニュース】ウクライナ軍の東部大反攻 ほか米国がウクライナに停戦交渉を勧告? 10日から11日にかけて、キエフではYES(Yalta European Strategy)が開催されていた。今年で18回目となる首脳・閣僚級会合であり、ジャーナリストや有識者も参加できるが、基的に完全クローズドであるため、内容を漏らしてはいけないという。そのためか、あまり知名度は高くない(筆者自身は今回初めて知った)。 ところが、今年のYESの内容については、非常に詳細なリーク報道が『エウロペイシカ・プラウダ』に掲載されている。 この記事によると、会合の席上、ゼレンシキー大統領は「我々はロシアと和平交渉とか妥協などしない」といった意味のことを非常に感情的なトーンで述べたという。レズニコウ国防省も、「我々はパートナーからの和平対話の勧めを信用しないことを学んだ」とやはり挑発的なことを言ったようだ。しかし、

    第191号(2022年9月12日) ウクライナ軍東部大反攻へ|ユーリィ・イズムィコ
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