ヒトは徹底的に社会的な動物で、家族や会社、地域社会などの共同体に埋め込まれている。しかしそこには、善意の名を借りた他人へのマウンティングや差別、偏見などが存在する。人間というのは、ものすごくやっかいなのだ。 ここでは、作家・橘玲氏が社会の残酷すぎる真実を解き明かした著書『バカと無知』(新潮社)から一部を抜粋。皇族の結婚問題や生活保護受給者へのバッシングから人間の“自尊心”を紐解いた内容を紹介する。(全2回の2回目/1回目から続く) ◆◆◆ 皇族は「上級国民」 自尊心をめぐる闘争ほどやっかいなものはない。面と向かって罵倒されたり、SNSで罵詈雑言を浴びせられることは、脳の生理的反応としては、殴られたり蹴られたりするのとまったく同じに感じられる。 皇族の1人がまさにこのような状況になって、複雑性PTSD(心的外傷後ストレス障害)と発表された。病名について異論はあるかもしれないが、「殴る蹴る」の