『69 sixty nine』 村上龍 文春文庫 2007年8月10日初版発行 反権力な自伝的小説 『69』は、1969年に高校生だった村上龍のまわりで起こった事の一部を描いた小説です。この小説の登場人物は、ほぼ全員が実在の人物だそうです。つまり『69』は、村上龍の自伝のような小説です。 今の村上龍はテレビ番組で経済人と対談する社会派キャスターであり、過去に多くの文学賞を受賞し一世を風靡した作家……と言った具合のイメージが持たれている人物だと思います。村上龍が昔書いた本をよく読んだ事が無い人は、「村上龍ってなんか偉そうで権威がありそうなオジサン」みたいに思っているのではないだろうか。 拾い画。 しかし、村上龍は高校時代に学校の屋上をバリケード封鎖して処分された問題児であり、反社会的な小説を書いて尾崎豊にリスペクトされた事のある、札付きの健康優良不良青年でした。『69』には、村上龍が青春時代