宮崎駿監督の新作映画『崖の上のポニョ』を見た日の夜、古い出来事を思い出した。今から15年も昔のことだ。そのころ、僕はあるゲーム会社に出向していた。 当時、その会社には「ライセンス案件会議」というものがあって、半年から1年ぐらい先にテレビ放映や映画上映が予定されている新作アニメのライセンスを取りに行くかどうかといったことを話し合っていた。 そんなある月のこと。会議資料に目を通した僕は興奮を覚えた。案件リストの中にたった一行だが、「映画・風の谷のナウシカ2(来年以降)」という文字が入っていることに気付いたのだ。 映画『風の谷のナウシカ』は、言わずと知れた宮崎監督の代表作品である。しかも、原作の漫画も宮崎監督自身が描いている。だが、映画版が作られたのはまだ漫画が連載中のときで、ストーリは原作の漫画でいえば最初の3分の1ぐらいのところで終わっていた。 それがこのころ、原作漫画の連載がちょうどクライ