鎌倉幕府の成立年代には大きく分けて7つある。数少ないこのブログの読者ならば何回か読んでいらっしゃると思うし、新たな読者がいるともあまり思えないが、再び。 鎌倉幕府の成立については一一八〇年、一一八三年、一一八四年、一一八五年、一一八九年、一一九〇年、一一九二年の諸説がある。これは例えば学問研究が進んで、新たな史料が発見されればどれか一つに収斂されるのか、と言えば、それはない。何故かといえば、鎌倉幕府の開設年代のズレは、「鎌倉幕府とは何か」という問いに対する解答が異なるからだ。 一一八〇年説を支える史実は「源頼朝が鎌倉に邸宅を構えた」ということである。頼朝の邸宅は単に頼朝が居住するだけではない。頼朝に従う「侍」を管理する機能も持っている。「侍所」というのはある程度の権門勢家ならば備えている機構であって、侍所を備えた邸宅を構える事は、頼朝が鎌倉を中心とする南関東を実力で支配しようとする意思を明