『数学で犯罪を解決する』 で参照した 大川法律事務所ー主張・コリンズ裁判と訴追者の誤謬 のネタ本として挙げてあったゲルト・ギーゲレンツァー『数字に弱いあなたの驚くほど危険な生活』(吉田利子訳,早川書房,2003年)がたまたま県立図書館にあったので,借りてきた。 邦訳はちょっと品のない題名になってしまっているが,とてもまじめな内容の本で,innumeracy(邦訳では「数字オンチ」)が大きな社会的損失を生じていることへの危機感を持って書かれている。今まで読んだこの手の本の中では最高である。訳文はよくこなれているし,訳語も正確である。強いて言えば,false positive の訳は「偽陽性」で正しいのだが素人はツベルクリンの「擬陽性」と混乱しないかちょっと心配である(よく読めばちゃんと説明してあるが)。 著者の提案は以下のように要約できそうである。例えば「40歳の女性が乳がんである確率は1%