世界の歴史を調べていると、自らの国力で対処できる限界をはるかに超えて勢力の拡大を図る過剰拡張(overexpansion)によって失敗した国家が決して少なくないことに驚かされます。 一部の国は勢力を拡大する機会を見つけても、それが軍事的に失敗したときのリスクや、国際社会の反応を予想し、開戦を踏みとどまります。しかし、一部の国は果てしない戦争に自ら飛び込み、勝つ見込みがないまま戦い続けることになります。第二次世界大戦における日本の対外政策も、典型的な過剰拡張の事例と解釈することができるでしょう。 アメリカの政治学者ジャック・スナイダーの著作『帝国の神話:国際的野心の国内政治(Myths of Empire: Domestic Politics and International Ambition)』(1991)はこのような一見すると不可解な対外政策が採用される理由を説明する理論を示した研究成
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