<世の中ナビ NEWS NAVIGATOR> 海賊事件が多発する東アフリカ・ソマリア沖で乗っ取られた船舶の人質救出策をめぐり、ドイツで論争になっている。海賊に拘束されたドイツ船員らを救うために、独政府は警察特殊部隊をひそかに派遣したが、危険を避け現場突入を断念した。これをきっかけにメルケル独首相らは、より精鋭で大規模な軍特殊部隊を議会決議なしで派遣できる基本法(憲法)改正を呼びかけ、政権内部も含め反論が続出している。【ベルリン小谷守彦】 ◇「警察では不十分」 ドイツは、海賊事件が頻発するアデン湾やソマリア沖の航路海運に最も依存する輸出大国だ。海賊対策では米国が求める軍派遣に慎重だったが、メルケル首相の決断で連邦議会承認を経て昨年12月から欧州連合(EU)初の海賊対策海上軍事作戦「アタランタ」に海軍艦船3隻を派遣した。 救出作戦の対象になったのは、4月4日に乗っ取られたコンテナ船ハンザ・スタ