タグ

ブックマーク / huyukiitoichi.hatenadiary.jp (18)

  • なぜ一見何の利益もない嫌がらせ行為を行う人間が存在するのか?──『悪意の科学: 意地悪な行動はなぜ進化し社会を動かしているのか?』 - 基本読書

    悪意の科学: 意地悪な行動はなぜ進化し社会を動かしているのか? 作者:サイモン・マッカーシー=ジョーンズインターシフトAmazon最近、仕事中のほとんどの時間は何らかのゲーム配信(最近はLeague of Legends)を垂れ流していることが多い。人気のストリーマーは数千、数万といった視聴者を集める。そうすると、一人用ゲームではない対戦系ゲームを配信で行っている配信者は、少なからぬ「嫌がらせ」行為に遭遇するものだ。 たとえば、配信者がゲームのマッチングを開始したのにタイミングを合わせてマッチング開始し、配信者とマッチングしたらその試合で通常ありえないえないゲームプレイをして負けに導いたり、挑発行為を繰り返したり、Apexのようなバトロワなら配信を見て位置を把握し集中攻撃をかけたりが行われるのである。 そうした悪意あるプレイヤーが、なぜ、自分にとってたいして利益があるようにも思えない悪意あ

    なぜ一見何の利益もない嫌がらせ行為を行う人間が存在するのか?──『悪意の科学: 意地悪な行動はなぜ進化し社会を動かしているのか?』 - 基本読書
  • 七つの作中作を通して殺人ミステリを数学的に定義しようと試みる本格ミステリ──『第八の探偵』 - 基本読書

    第八の探偵 (ハヤカワ・ミステリ文庫) 作者:アレックス パヴェージ発売日: 2021/04/14メディア: Kindle版この『第八の探偵』は、7つもの作中作が入り乱れるイギリス作家による格ミステリである。著者アレックス・パヴェージは書がデビュー作となるが、異様に凝った作りの作品であり、こんな才能がどうやったら突然出てくるんだ、と驚いてしまった。 殺人ミステリを数学的に定義する 書の中で展開される作中作はすべてグラント・マカリスターという作家が書いた作品なのだけれども、グラントによればこの短篇はすべて、彼が1937年に書いた研究論文に沿って生まれた作品なのだという。論文のタイトルは『探偵小説の順列』といい、その目的は「殺人ミステリを数学的に定義することだった」と語られている。 「でも、どうやってです? 文学の概念を定義するのに、数学をどう使うんです?」 「もっともな疑問だな。では、

    七つの作中作を通して殺人ミステリを数学的に定義しようと試みる本格ミステリ──『第八の探偵』 - 基本読書
  • 2020年に刊行され、おもしろかったノンフィクションを振り返る - 基本読書

    2020年ももうすぐ終わるので、読んでおもしろかったノンフィクションを振り返っていこうかと。今年はまるっとの雑誌でノンフィクションの新刊ガイドを担当しており、例年よりもたくさん読んだような、あまり変わらないような。とはいえ、おもしろいノンフィクションには山ほど出会ったので、思い出しながら書いていく。 まずは科学系から! LIFESPAN(ライフスパン)―老いなき世界 作者:デビッド・A・シンクレア,マシュー・D・ラプラント発売日: 2020/09/01メディア: Kindle版科学系のノンフィクションの中で最もおもしろかったのはなにかといえば、デビッド・A・シンクレア、マシュー・D・ラプラントによる『LIFESPAN 老いなき世界』になる。シンクレアは老化の原因と若返りの方法に関する世界的な権威で、老化は克服できる病であり、克服すべきだ、とこのの中で強烈に主張している。ほとんどすべての

    2020年に刊行され、おもしろかったノンフィクションを振り返る - 基本読書
  • SFミステリアドベンチャーゲームの快作──『AI:ソムニウムファイル』 - 基本読書

    AI: THE SOMNIUM FILES(アイ: ソムニウム ファイル) -Switch 【CEROレーティング「Z」】 (【予約特典】スペシャルサウンドトラック~REVERIES IN THE RaiN~ 同梱) 出版社/メーカー: スパイク・チュンソフト発売日: 2019/09/19メディア: Video Gameこの商品を含むブログを見る先日中国のミステリ/SF作家の陸秋槎さん(だけど金沢に住んでる)がこの『AI:ソムニウム ファイル』を中国のミステリーファンの間で話題だとツイートしていて気になってすぐ買ってやったのだが、確かにSFミステリとして抜群におもしろい。 陸秋槎 on Twitter: "三連休にこれをクリアした。最近中国のミステリーファンの中に結構話題になったが(中国語訳があるから)、日であんまり注目されていないね。SFミステリー傑作だと思う。… " 最初の3時間ぐら

    SFミステリアドベンチャーゲームの快作──『AI:ソムニウムファイル』 - 基本読書
  • SFマニアからビギナーまであらゆる層を満足させる、オールタイム・ベスト級の傑作SF短篇集──『なめらかな世界と、その敵』 - 基本読書

    なめらかな世界と、その敵 作者: 伴名練,赤坂アカ出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2019/08/20メディア: 単行この商品を含むブログを見るこの『なめらかな世界と、その敵』を端的に紹介すれば、SFマニアからビギナーまであらゆる層を満足させる、オールタイム・ベスト級の傑作SF短篇集である。とはいえ著者伴名練の名は、SFファン以外は聞いたことはないだろう。既刊行作は『少女禁区』という約10年前に刊行された中短篇集一冊のみで、その後も企画物のアンソロジーに散発的に短篇を発表しるのみだったから、普通は知る機会は多くはない。 だが、SFファンの間では、書の刊行前から伴名練の名は異常なほどの熱気でもって知られていた。というのも、商業発表作こそ少ないものの、同人誌に毎年のように新作短篇を発表しており、その作品の出来がまた凄まじかったからだ。それまでのSFの先行作を緻密かつ複雑に折り込み、舞

    SFマニアからビギナーまであらゆる層を満足させる、オールタイム・ベスト級の傑作SF短篇集──『なめらかな世界と、その敵』 - 基本読書
  • 中国だけで2100万部、話題性と本物のおもしろさを兼ね揃えたバケモノ級の中国SF──『三体』 - 基本読書

    三体 (ハヤカワ文庫SF) 作者:劉 慈欣早川書房Amazon『三体』とは! 中国の作家劉慈欣によって書かれたSF三部作の第一部目にして、中国国内だけで三部作累計2100万部を刊行し、さらに日でも人気のケン・リュウによる翻訳によってアメリカ歴史あるヒューゴー賞を受賞した傑作である。ヒューゴー賞受賞の何が凄いかと言うと、翻訳書としてははじめてのの受賞になるのだ。 それぐらい作品の内容が圧倒していたともいえる。で、あまりSFとは縁のなさそうなオバマやザッカーバーグも絶賛していたりとか、アニメ化が決定したりとか話題は尽きないんだけれども、とにもかくにもこれだけは覚えて帰ってもらいたいのは、この『三体』は、話題先行の内容はまあおもしろいね、いうほどじゃないけど的な軟弱な態度で読み終わる作品ではなく、その肥大化しきっているともいえる話題性に劣らない、圧倒的なおもしろさのある、純粋におもしろいSF

    中国だけで2100万部、話題性と本物のおもしろさを兼ね揃えたバケモノ級の中国SF──『三体』 - 基本読書
  • Kindle読み上げでたくさん本を読む - 基本読書

    この何ヶ月かKindle読み上げを利用してけっこうな冊数を読んでいて、なかなかいいぞとかこれは難しいぞという知見が貯まってきたのでここらでいったん共有したい。Kindle読み上げとは何なのかといえば、Kindleのアプリケーションに存在する読み上げ機能を使って音声でを読むというただそれだけのことであり、別に特段のスキルも準備も必要ない(最低限スマホかタブレットは欲しいところだけれども)。設定方法については面倒なのでこの記事では解説しない。Kindle読み上げで検索スべし。 katsumakazuyo.hatenablog.com この記事では方法よりも「そもそもどんなが読み上げに向いているのか?」とかの使用感を中心にしていこうと思う。僕自身も人がやっている(勝間和代さんとか)のを見かけてやってみたのだけれども、正直最初は半信半疑であった。ていうか音声で聞いてたら読み終えるのに時間かか

    Kindle読み上げでたくさん本を読む - 基本読書
  • 終末的な世界を少女とロボットが旅をする、絶景ノベル──『エレクトリック・ステイト』 - 基本読書

    エレクトリック・ステイト THE ELECTRIC STATE 作者: Simon Stålenhag,シモン・ストーレンハーグ,山形浩生出版社/メーカー: グラフィック社発売日: 2019/04/08メディア: 単行この商品を含むブログを見るスウェーデン出身のシモン・ストーレンハーグによって描かれた油絵チックなデジタル・イラストレーションと、その情景を補佐し、謎を散りばめることによって沸き立たせる絶妙なストーリー(小説)パートによって綴られるグラフィック・ノベルである(通常グラフィックノベルというとアメリカンコミックのことをさすことが多いと思うが、書のような作品はグラフィック・ノベル以外を当てづらい気がする)。グラフィック社のサンプルイラストより引用(http://www.graphicsha.co.jp/detail.html?p=38925)いろいろとオススメしたいポイントはある

    終末的な世界を少女とロボットが旅をする、絶景ノベル──『エレクトリック・ステイト』 - 基本読書
  • デビュー作にして超ド級の傑作ハードSF──『ランドスケープと夏の定理』 - 基本読書

    ランドスケープと夏の定理 (創元日SF叢書) 作者: 高島雄哉出版社/メーカー: 東京創元社発売日: 2018/08/30メディア: Kindle版この商品を含むブログを見る書『ランドスケープと夏の定理』は第5回創元SF短編賞を受賞した高島雄哉の、受賞作を端緒とする3編の連作短編集にして、単行のデビュー作になる。その作風を一言でいえばキャラ萌えが追加されたグレッグ・イーガン(いや、イーガン作品のキャラに萌えないってわけじゃないですよ!)、日作家でいうならば小松左京みたいなもんで、ちゃくちゃおもしろい。ぜんぜんデビュー作って感じじゃない。 21世紀後半を舞台に、22歳で教授になった天才物理学者の姉と、姉には及ばないものの優秀な弟が、世界を激変させる知性に関する3つの新しい定理を解き明かしていく──と、ざっくり表現すればそんな話になる。第一作「ランドスケープと夏の定理」では、”すべての

    デビュー作にして超ド級の傑作ハードSF──『ランドスケープと夏の定理』 - 基本読書
  • 兵站に焦点をおいたミリタリーSF──『星系出雲の兵站』 - 基本読書

    星系出雲の兵站 1 (ハヤカワ文庫JA) 作者: 林譲治,Rey.Hori出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2018/08/21メディア: 文庫この商品を含むブログを見るミリタリーSFといえばおおむね超光速航法があり、人類よりも高度な技術力を持つ敵エイリアンがいて、英雄的艦長がいて、とお約束がある。当然すべてが同じではつまらないので、それぞれの作品ごとに、お約束をちょっと外してみたり、”どこにこだわるか”を決め(キャラクター性だったり、艦隊戦の描写だったり、兵士たちの感情だったり、経済に注目してみたり)特色が出てくるものなのだが、林譲治による作『星系出雲の兵站』でこだわっているのは、書名にも入っている通り”兵站”だ。 書のあとがきは『子供の頃から疑問に思っていたことに、TV・映画などで地球を侵略に来る宇宙人への疑問があった。どうして彼らは地球人より高度な技術を持っているのに、負けて

    兵站に焦点をおいたミリタリーSF──『星系出雲の兵站』 - 基本読書
  • 魔術的な描写で小説の可能性を広げる短篇集──『オブジェクタム』 - 基本読書

    オブジェクタム 作者: 高山羽根子出版社/メーカー: 朝日新聞出版発売日: 2018/08/07メディア: 単行この商品を含むブログ (2件) を見る高山羽根子さんのデビュー作である『うどん キツネつきの』に続く第二作品集がこの、短篇を3つ集めた『オブジェクタム』である。デビュー作からして新人とは思えないような円熟した技量、さらには奇想、幻想譚の中でもオンリーワンな領域を開拓し続けていたのに、その後発表する短篇、中篇はまだまだここからが領発揮だと言わんばかりにどれも傑作揃いで、第二作品集はもうずっと待ち望んでいた一冊だ。 3篇とも、細部はぼやけてしまって覚えていないが美しい過去の記憶のように、どこか幻想的な空気の漂う物語である。すでに雑誌等で読んでしまっていたが、眠れぬ夜のためにとっておいた書を深夜3時ぐらいにモソモソと引っ張り出して読むのは至福の体験であった。そのおもしろさをどのよ

    魔術的な描写で小説の可能性を広げる短篇集──『オブジェクタム』 - 基本読書
  • 人類のほぼ全てが視力を失った終末世界──『トリフィド時代―食人植物の恐怖』 - 基本読書

    トリフィド時代 (人植物の恐怖)【新訳版】 (創元SF文庫) 作者: ジョン・ウィンダム,中村融出版社/メーカー: 東京創元社発売日: 2018/07/30メディア: 文庫この商品を含むブログ (1件) を見る英国SF界にその名を轟かすジョン・ウィンダムの代表作『トリフィド時代』の新訳版が出た。僕も三足の動く植物がまあなんかスゲーんだよ!! という雑な評判は知っていたのだが読むのは今回がはじめて。第二次世界大戦の爪痕が色濃く残る1951年に刊行された作品だけれども、今読んでもめちゃくちゃおもしろい。 基的には終末世界をわずかに生き残った人間がロードームービー的に旅をしていくのだが、その世界には人間をべる凶悪な植物〈トリフィド〉がいて──と、今でいうと終末ゾンビ物のゾンビがトリフィドに入れ替わったような感じか(内容はずいぶん違うが)。ゾンビだと「死」の象徴としての側面が強いし、手垢が

    人類のほぼ全てが視力を失った終末世界──『トリフィド時代―食人植物の恐怖』 - 基本読書
  • ゲーム好きにはたまらんゲームSF傑作選──『スタートボタンを押してください』 - 基本読書

    スタートボタンを押してください (ゲームSF傑作選) (創元SF文庫) 作者: ケン・リュウ,桜坂洋,アンディ・ウィアー,アーネスト・クライン,ヒュー・ハウイー,コリイ・ドクトロウ,チャールズ・ユウ,ダニエル・H・ウィルソン,チャーリー・ジェーン・アンダース,ホリー・ブラック,ショーナン・マグワイア,デヴィッド・バー・カートリー,ミッキー・ニールソン,ジョン・ジョゼフ・アダムズ,緒賀岳志,米光一成,中原尚哉,古沢嘉通出版社/メーカー: 東京創元社発売日: 2018/03/12メディア: 文庫この商品を含むブログ (2件) を見る小説を読むのも好きだがゲームをやるのも大好きだ。受動的に一の道を読み進めていくのと、自分自身の手で操作し、分岐なしの一道であっても自分が思うままに進めていくのとではその体験は大きく違ったものになる(別にゲームは物語があるものだけではないが)。というわけで『スター

    ゲーム好きにはたまらんゲームSF傑作選──『スタートボタンを押してください』 - 基本読書
  • SFの醍醐味がつまったSFコミック短篇集──『無限大の日々』 - 基本読書

    無限大の日々 作者: 八木ナガハル出版社/メーカー: 駒草出版発売日: 2018/02/28メディア: 単行この商品を含むブログ (1件) を見る著者八木ナガハルがコミケやコミティアで発表したオリジナルSF漫画を集めたこの一冊。SF物で一巻完結という時点で珍しいが、その中身は漫画という表現形式ならではの壮大なSFアイディア/光景をみせてくれる、SFとしての醍醐味がたんまり詰まった短編集だ。軌道衛星、何種類もの軌道エレベータ、昆虫型の異生物、機械知性に自由意志問題──といったいくつものネタを、守備範囲が海外SF小説メインのハードSF者と自己紹介する著者が調理していくので、それはまあおもしろいわな。 各作品をざっと紹介する 当は絵、ヴィジョン、見せ方をそのまま貼っつけてお見せしたいところだがそれは無理なので全八篇の収録作を順番に紹介していこう。まず最初に収録されているのは、別々の惑星で同じ

    SFの醍醐味がつまったSFコミック短篇集──『無限大の日々』 - 基本読書
  • 少女が蒸気駆動の甲冑機械を着て駆け回る──『スチーム・ガール』 - 基本読書

    スチーム・ガール (創元SF文庫) 作者: エリザベス・ベア,安倍吉俊,赤尾秀子出版社/メーカー: 東京創元社発売日: 2017/10/21メディア: 文庫この商品を含むブログ (1件) を見る「スチーム」ときて「ガール」である。スチームだけでも満貫だが、そこにガールがつけば役満である。ということで『スチーム・ガール』なわけだが、読み始めて気づいたのだが原題は『KAREN MEMORY』で、その書名通りにカレンという名の高級娼館で働く少女が、一連の事件が終わった後に回想形式で語る物語である。 ちなみにスチーム要素もちゃんとある。飛行船から船まで、蒸気駆動の船が世界を闊歩している19世紀後半のアメリカ西海岸の港町が舞台なのだ。ただ、少女が蒸気駆動の甲冑機械を着て駆け回るとか記事のタイトルにつけてしまったし、帯にも「愛する彼女を守るため、カレンは蒸気駆動の甲冑機械を身にまとう」と書いてあるが、

    少女が蒸気駆動の甲冑機械を着て駆け回る──『スチーム・ガール』 - 基本読書
  • 神話に基づく変奏──『サイバネティクス全史――人類は思考するマシンに何を夢見たのか』 - 基本読書

    サイバネティクス全史――人類は思考するマシンに何を夢見たのか 作者: トマス・リッド,松浦俊輔出版社/メーカー: 作品社発売日: 2017/09/27メディア: 単行この商品を含むブログ (2件) を見る「サイバー」という言葉には人を惹き付ける魅力がある。サイバースペース、サイバーパンク、サイバーウォー、サイバーカルチャー、サイバーセキュリティー……。何を意味しているのか明確なこともあれば、いまいちカッコイイだけで何を言っているんだかよくわからないこともあるこの「サイバー」なるものはどこからきたのか。 もちろんサイバースペース創始者はウィリアム・ギブスンの『ニューロマンサー』なわけだが、そもそもその着想は何にあったのか。それを根から解き明かし、歴史を辿り直すよう試みたのが書『サイバネティクス全史――人類は思考するマシンに何を夢見たのか』である。『それでもこの世界でも有数の刺激的で、高

    神話に基づく変奏──『サイバネティクス全史――人類は思考するマシンに何を夢見たのか』 - 基本読書
  • 数学的原理に裏打ちされたファンタジー小説──『精霊の箱: チューリングマシンをめぐる冒険』 - 基本読書

    精霊の箱 上: チューリングマシンをめぐる冒険 作者: 川添愛出版社/メーカー: 東京大学出版会発売日: 2016/10/26メディア: 単行この商品を含むブログ (4件) を見る精霊の箱 下: チューリングマシンをめぐる冒険 作者: 川添愛出版社/メーカー: 東京大学出版会発売日: 2016/10/26メディア: 単行この商品を含むブログ (4件) を見る書は副題にチューリングマシンをめぐる冒険とあるように、「チューリングマシン」について、その諸原理や応用問題を取り扱った一冊である。チューリングマシンとは計算を数学的にモデル化するために生み出されたもので──と説明を始めたらキリがないので一旦終わるが、それと同時に、書は「格ファンタジー」でもある。 ベストセラー『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら』を筆頭として、ストーリー仕立てで現実の経営論や

    数学的原理に裏打ちされたファンタジー小説──『精霊の箱: チューリングマシンをめぐる冒険』 - 基本読書
  • SFをもっと楽しむための科学ノンフィクションはこれだ! - 基本読書

    記事名そのまま。SFが好きなのに科学ノンフィクションを読んでない人をみると「現代の最先端科学なんて、どれもほとんどSFでめちゃくちゃ面白いのにもったいない!」と思う。こんなことを考えたのも昨日、オービタルクラウドを最近出したばかりのSFジャンルをメインに執筆している藤井太洋さんのASCII.jp:ITとともに生まれた産業革命に匹敵する質的な方法論 (1/4)|遠藤諭の『デジタルの、これからを聞く』 こんなインタビュー記事を読んだからだ。 藤井さんはデビュー作であるGene Mapperを含め、現代で可能な科学技術の延長線上に起こりえる地続きの未来描写が特徴的で、「今・ここにある技術の凄さ」が感じられるところが毎回凄いんだよなあとこれを読んでいて思い返していた。またそこで使われているアイディアは現代でもそのまま使えるものが多いし。技術的には現実が既にSFなのだ。 透明マントだって現実化して

    SFをもっと楽しむための科学ノンフィクションはこれだ! - 基本読書
  • 1