長くヨーロッパ政治の中心に君臨してきたドイツのメルケル首相。先月29日、与党の党首を退任し、2021年まで首相をつとめあげたあと政界を引退すると発表しました。 一時は“鉄壁”と見られていた、メルケル時代の終わりの始まり。ドイツ、そしてヨーロッパはどこに向かうのでしょうか?(ベルリン支局長 野田順子) メルケル氏がドイツの首相に就任したのは2005年。13年にわたる在任期間は、主要7か国のリーダーの中で最も長く、「ヨーロッパの女帝」とまで呼ばれました。 そのメルケル氏が国民の支持を失うきっかけとなったのが、中東などからの難民の受け入れ問題です。 メルケル首相は、2015年9月、反難民を掲げるハンガリーに滞留していた大勢の難民たちを人道主義に基づき国内で保護する方針を発表しました。この判断をきっかけに、「ドイツは私たちを受け入れてくれる」と考えた人たちが、大挙してヨーロッパを目指すようになり、