集団的自衛権の行使について。 憲法解釈で可能なことと、憲法を別とした、政策上の議論はきちんと分けて議論すべきである。政策上、集団的自衛権を認めた方が得策であるという主張もありえるかもしれないが、それと、憲法解釈上、集団的自衛権が認められるかどうかという議論は区別しなければならない。現行憲法の解釈では、集団的自衛権を認めることはできない。従来の政府の解釈は、いってみれば自然権の発想に近い。というのは、9条には(個別的)自衛権は認められるとも、そのための自衛力は認められるとも書かれていない。それが認められるというのは、刑法上の正当防衛のように、人や共同体は、攻撃をうけ生命や身体が危険にさらされるような場合は、当然反撃できるし、またそのための最小限の備えは認められるであろうという、一般人であれば通常同意すると思われる観念に基づく。このような観念に基づき、9条解釈上、個別的自衛権と自衛力は認められ