近年、日本社会の右傾化が懸念されている。インターネット上では急進的な右派からマイノリティの排除が繰り返し叫ばれ、ヘイトスピーチなどの社会問題にもなっている。果たして、日本社会は本当に右傾化しているのか。インターネット空間における右傾化とレイシズムの関係について、社会心理学者の高史明氏に伺った。(取材・構成/増田穂) ◇日本は右傾化しているのか? ――最近、日本社会の右傾化を懸念する声が度々聞かれますが、実際に社会は右傾化しているのでしょうか。 その質問に答えるには、まず、どの領域での右傾化を論じるかをはっきりさせなければなりません。一言に「日本社会の右傾化」といっても、それが有権者、つまり市民のレベルで起こっているのか、政治家のレベルで起こっているのか、もしくは制度の面で右傾化しているのか、さまざまなレイヤーがあります。「日本社会が右傾化している」というと市民の意識レベルでも右傾化が起こっ